富士山五合目・御庭,奥庭

山梨県南都留郡鳴沢村; 2001年7月28,29日撮影


今回のお目当ては,奥庭のシャクナゲ。例年7月下旬から8月上旬が見頃だったはずが,ここ数年,
1〜2週間は「前倒し」になってきています。地球温暖化の影響でしょうか?
奥庭荘のおじさんの話によると,7月上旬から咲き始めてピークは10日ほど前。7月20日前後
がよかったようです。ここといい,乗鞍岳畳平の高山植物といい,花期のこの早まり方はちょっと
気がかり。
 

奥庭 7月28日撮影

ハクサンシャクナゲ (白山石楠花) Rhododendron brachycarpum
  ツツジ科ツツジ属

落葉樹林帯上部から亜高山帯の針葉樹林内に群落を作る常緑低木。のっぺりとした肉厚の葉を枝先
に輪生状につけ,夏季に枝先に花序をだして径3〜4cm,5〜10個の淡いピンク色の花をボン
ボリ状に咲かせる。

奥庭荘付近で撮影。このあたり既にピークを過ぎていたが,御庭・お中道方面はまだまだイケてい
るらしいので明日見にゆくことにする。
 

クルマユリ (車百合) Lilium medeoloides
  ユリ科ユリ属

葉が茎の中央部に6−15枚輪生するところから,車ユリの名がある。茎の先端に橙色の径5〜6
cmの花を1〜数個つける。花弁は強く反り返っている。
 


奥庭荘ご主人のおすすめで,今日は御庭からお中道方面へシャクナゲ見物に。スバルライン御庭・
奥庭駐車場から富士山側にとりつき,林道とは反対側の五合目方面へ向かう遊歩道をゆく。
 

奥庭,御庭,お中道(大沢方面) 7月29日撮影

オンタデ (御蓼) Polygonum weyrichii var. alpinum  別名 イワタデ
   タデ科タデ属

左から奥庭荘付近,御庭付近,御庭から下る林道付近。がさがさの溶岩や,火山砕屑物に覆われた
開けた砂礫地を好む。標高2000mを越えたあたりから普通に見られるようになる。
 

カラマツ (落葉松) Larix kaempferi
  マツ科カラマツ属

やや乾燥した山地に生える落葉針葉高木で火山の斜面に多い。本来高さは30m,横枝が張って円
錐状になるが,ここは風衝地のために矮小化して高さ3〜5m程度になっている。
 

 御庭付近

このあたり,標高2400mから上は大きな木が生えず森林限界をなしている。ただし,気候学的
な「森林限界」は南アルプスなど,このあたりで標高3000m以上といわれる。気候学的森林限
界と一致していないのは,富士山が若い火山で山肌が安定しない岩石質であるという地質学的な理
由による。
 

  シラビソの森とシャクナゲ

御庭からお中道を西へ辿る。途中でスバルラインの御庭・奥庭駐車場に下る林道と分岐するが,分
かりづらいので要注意。案内は出ているが,目立たない山道。広く歩きやすい林道の方へついつい
流れがち。
 

ゴゼンタチバナ (御前橘) Cornus canadensis
   ミズキ科ゴゼンタチバナ属

針葉樹林下に生える高さ7〜12cmの多年草。茎の先に4−6枚の葉が輪生状につき,白い花序
をつける。花弁に見えるのは総苞片で,花はその中心に十数個。小さく目立たない。
 

コバノイチヤクソウ (小葉一薬草) Pyrola alpina
   イチヤクソウ科イチヤクソウ属

深山の針葉樹林内に生える多年草。葉は4〜8枚つき,広楕円形または円形で長さ1.5〜3cm。
花茎は高さ10cmほど,径1cmくらいの小さな白い花を1〜5個ほどつける。
 

ハクサンシャクナゲ (白山石楠花) Rhododendron brachycarpum
  

  

   ツツジ科ツツジ属

大沢方面お中道にて。このあたりで丁度見頃。群落をつくることが多く,丸い大きな花序は薄暗い
森の中で祭りのボンボリのように見える。高さ1〜3mの常緑低木。ミヤマカラスアゲハやアサギ
マダラなどの蝶も寄ってくる。
 

ヤマホタルブクロ (山蛍袋) Campanula punctata var. hondoensis
  キキョウ科ホタルブクロ属

本州中部山岳地帯を中心に広く分布。平地から深山まで,崩壊地や道端などの開けた場所に見られ
る。富士山五合目付近のものは背丈が10cm程度と低いが,その割に花は3〜4cm以上と大き
い。
 

マルバノイチヤクソウ (丸葉一薬草) Pyrola nephrophylla
   イチヤクソウ科イチヤクソウ属

亜高山帯の林下に生える多年草。葉は偏円形で先は丸いかややへこみ,基部は心形。長さは2〜3
cm,幅2〜4cm。花茎は赤味を帯びて高さは15cmほど,5〜10個程度のやや赤味を帯び
た白い花をつける。花は径10〜13mm,萼片は三角で先がとがる。 …という具合に,類似種
があって判別しにくいイチヤクソウ一族なのであった。
 


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