富士スバルラインと奥庭自然園

山梨県富士吉田市,南都留郡河口湖町,鳴沢村; 2002年6月29日,30日撮影


ことしの梅雨は思い切り陰性。梅雨寒に,しとしとぴっちゃんの雨続き。春先以来,駆け足だった
季節の歩みも,ここへきて急にスローダウンしたかのようです。でも,初夏の富士山にはそろそろ
高山植物も咲き始める頃合。富士山特有の「アタマを雲の上に出し」効果を期待して,スバルライ
ンにアタック!
 

6月29日撮影

  雨の中。。。

スタート地点の河口湖,富士山ビジターセンター前。今にも降り出しそうだがなんとか持っている。
しかし料金所付近で雨が降り出し,高度を上げるにつれて次第に濃霧(=雲の中)に。
 

ヤマオダマキ (山苧環) Aquilegia buergeriana
 キンポウゲ科オダマキ属

深山の林の縁や道端に生える多年草。高さ30〜50cmかそれ以上。茎はまばらに枝分かれして,
先に径3〜3.5cmの花を下向きにつける。花弁は5個で先はクリーム色,基部はわずかに外側
に反って距(角状の部分)になる。萼はとがった卵形,紫褐色でやはり5個ある。

スバルラインの道端に多く,料金所のあたり(標高1100m付近)から四合目大沢駐車場(標高
2000m付近)まで見られる。
 

シロバナヘビイチゴ (白花蛇苺) Fragaria nipponica
  バラ科オランダイチゴ属

深山の日当りのよい草地に生える多年草。葉は根生,3小葉をつける。小葉は長さ1〜3cmの楕
円形ないし卵形で,縁にあらい鋸歯がある。細い花茎の先に純白の径1.5〜3cmほどの花をつ
ける。実は赤く熟して径1cmほど,食べられるらしい。

麓近くから五合目奥庭あたりまで道端にあまねく分布している。今年は既に終わりかけ。若い実を
つけた株が多く,見頃は1週間から10日前だったと思われる。
 

ベニバナイチヤクソウ (紅花一薬草) Pyrola incarnata
  イチヤクソウ科イチヤクソウ属

深山の,カラマツ林の中などに群生する。葉は円形または円状楕円形で,根元に2〜5枚集まって
つく。花茎は高さ15〜20cmに立ち上がり,濃い桃色の径1cmくらいの花を多数つける。薬
草として用いられる同属の植物,イチヤクソウ(一薬草)の紅花種。

二合目から四合目にかけて道端にたくさん咲いている。三合目のカンバンから四合目大沢駐車場に
かけてが見頃。
 

ミヤマハンショウヅル (深山半鐘蔓) Clematis ochotensis
   キンポウゲ科センニンソウ属

深山の針葉樹林の縁や,高山のハイマツの中などに生える木質のつる植物。3枚の鋸歯のある尖っ
た卵形の葉をつける。長い花柄を葉の間から出して,濃い紫色で長さ2.5〜4cmの鐘形の花を
先端に1つつける。

三合目〜四合目にかけて,道端の繁みをよーく観察すること。
 

ヤマオダマキ (山苧環) Aquilegia buergeriana
  キンポウゲ科オダマキ属

四合目大沢駐車場付近にて。雨に濡れている姿には風情があるが,風で揺れやすいのでスローシャ
ッターはきびしい。
 

フジハタザオ (富士旗竿) Arabis serrata
  アブラナ科ハタザオ属

富士山の砂礫地や岩場に生える多年草。高さ10〜30cm。葉は茎を抱くように互生し,あらい
鋸歯がある。花は白い十字状で1cm以上とこの仲間のなかではやや大振り。

四合目大沢駐車場付近。この時期そろそろ終わりかけ。写真の株も,アブラナのような鞘を持った
実をつけている。
 

  五合目終点

夕方遅く,五合目到着。おつかれさまでした。時間も遅いがこの天気。いつもは賑やかなバスター
ミナルにも誰もいない。

うー,寒。今夜の宿はここから2km下った奥庭荘。小屋のおっちゃんとコケモモ酒三昧だー。
 


6月30日撮影

  笠雲

翌朝。朝のうちは青空が広がっていた。展望台にでると,下界には雲海が広がっていた。天気予報
は思い切り「雨」だったが...これが富士山の「アタマを雲の上に出し」効果。
 

  朝日のなかで

遊歩道きわのコケモモの花。ソフトフィルターをかけたような雰囲気だが,実はレンズが曇ってい
ただけ。水が浸入したらしい。
 

 雨上がり

カラマツも新緑である。
 

ツマトリソウ (褄取り草) Trientalis europaea
 サクラソウ科ツマトリソウ属

高山の草地や針葉樹林内に生える多年草。高さ5〜15cm。葉は互生して広披針形,茎の上部に
数枚輪生状にまとまってつく。葉のわきから長さ2〜3cmの花柄を出して先端に径1〜2cmの
白い花をつける。花弁の先が浅紅色に変化するので,褄取りの名がある。

奥庭自然公園,展望台にて。コケモモに混じって,森の下生えに。
 

コケモモ (苔桃) Vaccinium vitis-idaea
   ツツジ科スノキ属

高山に生える5〜20cmの常緑小低木。葉は密に互生して,革質でつやがある1cmくらいの長
楕円形。花は少し淡紅色を帯びた白色の釣鐘形で6〜7mm,枝先に3〜8個下向きにつく。実は
球形で赤く熟し,食べられる。
 

コメツガ (米栂) Tsuga diversifolia
  マツ科ツガ属

亜高山帯に生える常緑高木。樹皮はマツの肌のように裂け,灰褐色。葉は線形で扁平,先が浅くへ
こむ。長さ0.5〜1cm,幅1.5〜2mm。

カラマツ,シラビソなどとともに奥庭周辺に多い針葉樹。常緑ではあるがこの時期に新芽を出し,
枝先が明るい黄緑色に染まる。
 

ハクサンシャクナゲ (白山石楠花) Rhododendron brachycarpum
  ツツジ科ツツジ属

落葉樹林帯上部から亜高山帯の針葉樹林内に群落を作る,高さ1〜3mの常緑低木。のっぺりとし
た肉厚の葉を枝先に輪生状につけ,夏季に枝先に花序をだして径3〜4cm,5〜10個の淡いピ
ンク色の花をボンボリ状に咲かせる。

奥庭自然園,展望台付近にて。気の早いのが一株だけ花を咲かせていた。今年は全般に花つきは今
ひとつらしい。
 

 奥庭荘付近にて

白い花はシロバナヘビイチゴ。細かい楕円形の葉はコケモモ,とがった細長い葉はヤナギランの苗。
 

マイヅルソウ (舞鶴草) Maianthemum dilatatum
  ユリ科マイヅルソウ属

深山の針葉樹林に多く生える多年草。舞鶴草の名は,葉脈の曲がった様子がツルが羽根を広げたよ
うに見えるところから。高さは10〜20cmくらい,葉は卵心形で長さ3〜7cm,基部は心形
で先はとがる。茎の先に小さく白い花を10〜20個程度つける。
 

イチヨウラン (一葉蘭) Dactylostalix ringens  別名 ヒトハラン
  

 ラン科イチヨウラン属

深山の針葉樹林下に生える多年草。葉は根元に1枚つき,広楕円形で長さ3〜5cm。葉の脇から
高さ10〜15cmくらいの花茎を出し,先に一輪の花をつける。葉が1枚つくところから,一葉
蘭。奥庭荘付近にて。
 

ミヤマハンショウヅル (深山半鐘蔓) Clematis ochotensis
  

   キンポウゲ科センニンソウ属

左上隅:奥庭展望台付近,その他:奥庭荘付近

花期がさほど長くはないらしく,いつも微妙。今年はいい感じに開いた状態で見ることができた。
シャクナゲやコメツガなどにからんで伸びる。クレマチス,または園芸植物のテッセンの仲間。
 

ミヤマオダマキ (深山苧環) Aquilegia flabellata var. pumila
  キンポウゲ科オダマキ属

高山の礫地に生える高さ10〜20cmの多年草。一見大きめのクローバーのような葉を広げる。
花は径3〜4cm,鮮やかな青紫色で下向きに開く。外側に広がるのは萼片で広卵形,花弁は内側
で白色を帯び長さ1〜1.5cm。園芸品種のオダマキは,本種を改良したものと考えられる。苧
環とは,麻糸を巻いた昔の道具。

奥庭荘付近にて。何故かピントが合いやすく,風さえ吹かなければキレイに撮れる。
 

 下山する

天気が悪いので,気をつけて帰りましょう。
 


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