表富士五合目

静岡県裾野市,富士市,富士宮市; 2002年8月8日撮影


春に企画した富士山表裏ツアーは,自転車通行禁止の有料道路(南富士エバーグリーンライン)に
阻まれてあえなく敗退。で,この夏改めてルートを変えて御殿場市内からアタック。リベンジ戦で
す。今日は朝から天気も上々...なのはいいけれど,暑いぞー。涼しくなる標高2000m近く
までは,まさに忍の一字。水はたっぷり用意して。
 

  水ヶ塚駐車場,トイレ・売店あり。

宝永噴火口が口をあける。見慣れた河口湖側からの穏やかな姿とはがらりと表情を変えて迫る。
あの火口が開いたのはわずか300年前。万年単位のスケールになる火山活動のライフサイクルの
中では,ついこのあいだの話。ちょっと噴いてみました。そろそろ次,いってみましょうか?とか,
考えているかもしれん。
 

 富士山スカイラインに入る。

富士山スカイライン。路面の状態は良いが,スバルラインよりもやや道幅は狭く路肩のゆとりもな
いので険しく感じる。終点五合目まで樹林帯が途切れずに続くので道端の景観は変化に乏しいが,
緩急とりどりカーブも多くて楽しめる山岳ルートである。

ながーい裾野のだんだら坂を登りつめ,右に左にカーブを切りながら標高を上げてゆく。いよいよ
佳境に入ってきたが,なに?まだ二合目?
 

  雲の上を行く。

雲の切れ間からは,駿河湾に伊豆半島。
前言撤回。三合目を過ぎたあたりからは眺望が開けて,輝く太平洋にぽっかり浮かぶ伊豆大島も目
に飛び込んでくる。これはここならではの絶景。スバルラインから海は見えない。さすがに。
 

 四合目

標高2300m付近。反対側のスバルラインでは,この高度ではシラビソ,カラマツなどの針葉樹
の林だが,こちら側では白樺などの落葉広葉樹が混じる。山頂をはさんで北と南で植物の垂直分布
が異なるようだ。
 

ミヤマシャジン (深山沙参) Adenophora nikoensis var. stenophylla
  

   キキョウ科ツリガネニンジン属

亜高山帯から高山帯の岩場や草地に生える多年草。高さ20〜60cmくらいで数本が株立ちとな
って群生する。葉は細長い披針形で長さ3〜5cm,さきは尖る。花は鐘形,青紫色で長さ1.5
〜2.5cmほど。茎の先端に1〜10個程度が下向きに咲く。ヒメシャジンの変種。

終点手前の道端に大群落。気温も下がって涼しげな風がひと吹き,蒼が揺れる。
 

 五合目終点,意外に小ぢんまりとしたところ。

頭を雲の上に出し,という歌の文句そのもの。
午後になって,潮が満ちてくるように足元に白銀の海がせりあがってきた。しかし,この美しさに
はウラがある...それはこのあと,下山中にたっぷりと味わうハメになる。
 

 頂上

視点が山肌に張り付いているので遠近感が掴めず意外と近くに見えるが,登れば4〜5時間はかか
るという。吹きさらしの上に落石が多く,天気がよくても風の強い日は入山を遠慮してもらってい
る,と監視員のおじさん。朝からお疲れさまです。
 

 風衝木

風の強さはこんなところからも伺える。風に煽られただけではなく,風当たりの強い側が乾燥しや
すいので枝が生長できないという事情もあるらしい。山肌に沿って西から東に向かってなびいてい
る。
 

オンタデ (御蓼) Polygonum weyrichii var. alpinum  別名 イワタデ
  

  タデ科タデ属

高山の砂礫地に生える多年草。高さ30〜100cm。葉は卵形で長さ10〜20cm,幅は大き
なもので10〜15cm。茎の先に円錐状の花序を出し,径2mmくらいの黄白色の花を多数咲か
せる。実は長さ6〜7mmの広楕円形で翼が3つあり,紅色に染まる。雌雄異株。
 

イワオウギ (岩黄耆) Hedysarum vicioides
  マメ科イワオウギ属

亜高山帯から高山帯の岩礫地に生える多年草。高さ20〜80cmになる。葉は羽状複葉で11〜
25対の小葉からなる。小葉は狭卵形で長さ2〜2.5cm,幅1cmほど。葉の脇から総状花序
を出し,長さ2cm弱の黄白色の蝶形の花を多数咲かせる。名前は,中国産の薬用植物の黄耆によ
く似ていることから。
 

 五合目駐車場にて。さあて,筆者はどっち?

ここの標高は海抜2400m。乗鞍岳畳平へ登る山岳道路に交通規制がかかり,今シーズン限りで
一般車の乗り入れが出来なくなる。なので,来年からはここがマイカーで登れる日本最高所という
ことになる。もっとも,ここも毎年8月半ばには交通規制が実施されているが。

どちらにしても,自転車ならOK。御殿場市内からだと,標高差は約2000m。
 

ヤマホタルブクロ (山蛍袋) Campanula punctata var. hondensis
   キキョウ科ホタルブクロ属

平地から亜高山帯の岩礫地まで広く見られる多年草。高さは30〜70cmほどだが,富士山の五
合目付近では10cm程度のものもある。葉は長卵形で長さ4〜7cm,縁には鋸歯がある。茎の
頂部から枝わかれして長さ4〜5cmの淡紫色の鐘形の花を咲かせる(白い花もある)。和名の由
来は提灯の昔の呼び名「火垂る袋」に,あるいは捕まえたホタルを入れるのに花の形がちょうどよ
いから...などの説がある。
 

ヤハズヒゴタイ (矢筈平江帯) Saussurea triptera
  キク科トウヒレン属

低山から亜高山帯の草原に生える多年草。高さ30〜60cm。茎には葉から続くひれがあり,上
部には細毛がある。根生葉と下部の茎葉はひれのある長柄を持ち,卵形ないし卵状長楕円形で長さ
5〜10cm。下部が羽状に中裂し,縁には鋸歯がある。茎の先に径1cmほどの淡紅紫色の頭花
を5〜6から二十数個,散房状に咲かせる。矢筈とは矢についてる羽のことで,葉の形が似ている
ことによると思われる。
 

キオン (黄苑) Senecio nemorensis
  キク科サワギク属

低山帯から高山帯にかけての日当たりのよい草地に生える多年草。高さ20〜100cm。葉は互
生し,長楕円形ないし披針形で長さ5〜15cm,幅5〜10cm。縁に細かい鋸歯がある。茎の
先に散房状に多数の頭花をつける。頭花は黄色で径2〜3cm,花びらに見える舌状花は5個ほど。
 

  雲海の中は...

下山中に霧の中に突入,どうやら雲海の中に潜り込んだ様子。霧はどんどん濃くなり,そのうち雨
模様に。雨,どんどん降り募る。仕方なく雨具を被り,速度制限30kmでゆっくり下降する。
先に降りた連れの1名は,ほとんど降られなかったと言う。途中でホタルブクロなぞ撮っていなけ
れば,逃げ切れたかも。
 

 雨あがりの青い道。

御殿場口登山道の入り口を過ぎる頃,雲から抜け出して晴れ間が広がった。路面には青空が反射し
てまぶしい。速度制限解除,水しぶき上げながら高速ダウンヒル再開!
 


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