乗鞍岳畳平・夏 その1

長野県南安曇郡安曇村,岐阜県大野郡丹生川村; 2000年8月6,8,10日撮影


乗鞍岳畳平にて。今年はハクサンイチゲ,クロユリ,コマクサの当たり年でした。

→8月8日,10日撮影分(乗鞍岳畳平・夏 その2)へはこちらから。コマクサにアオノツガザ
 クラ。
 

8月6日撮影

 乗鞍岳畳平,県境尾根付近から鶴ヶ池方面

県道84号乗鞍岳線。乗鞍高原鈴蘭から畳平まで,距離21km標高差1200mの山岳道路であ
る。麓のカラマツ人工林,スキー場の草原,針葉樹の天然林,そして位ヶ原付近からは高山植物の
世界。植物の垂直分布がつぶさに観察できる。森林限界を越える高山に,車道でアプローチできる
数少ない(というより唯一の)場所でもある。
 

 バスターミナル下の遊歩道。

終点畳平付近には草原に遊歩道が整備され,自然のままの高山帯草原植生を観察できるようになっ
ている。一周約1時間ほどだが,じっくり時間をかけてまわりたいところ。年によって花期がずれ
たり,盛衰があったり。今年は春先の大雪の影響か全般に花期がやや遅くなっているようで,ハク
サンイチゲが真っ盛り。大群落が白い残雪のよう。(奥に写っているのは本物の残雪。いちおう念
のため。)
 

ヨツバシオガマ (四葉塩竃) Pedicularis chamissonis var. japonica
 ゴマノハグサ科シオガマギク属

高山の草原に生える高さ20〜50cmの多年草。葉は4枚が輪生し,羽根状に深裂する。茎の先
に4個づつ輪生する花を数段つける。花冠は紅紫色だが,淡いものや白花もある。
和名の由来は,葉まで美しい→浜で美しい→塩釜。ちょっと無理がないか?
 

イワギキョウ (岩桔梗) Campanula lasiocarpa
 キキョウ科ホタルブクロ属

高山の岩礫地や岩場に生える多年草。葉は根元に集まって付き,倒卵形または被針形,光沢がなく
ふちに粗く歯牙がある。夏,5〜15cmの花茎を伸ばし,先端に花を1つやや上向きにつける。
花冠は青紫色,鐘形で5裂し,長さ2〜2.5cmで無毛。

同じような場所でよく似た花を咲かせるチシマギキョウ。こちらは葉に光沢があり,花は横向き。
花冠の内側からふちにかけて白毛が生える。
 

ハクサンイチゲ (白山一花) Anemone narcissiflora
  

  

   キンポウゲ科イチリンソウ属

高山の湿り気のある草原に生える多年草。高さ15〜40cmくらい。3〜4枚の柄のない茎葉を
輪生させ,茎葉の中心から数本の花柄を散形状に出して先端に径2cmほどの花を1個づつつける。
花弁はなく,5個の白い花弁にみえるのは萼片である。

遊歩道の先が白くけむるほどの大群落。この花は例年,8月に入ると勢いが衰えてしまう。7月半
ばから下旬にかけての一時期が見頃。今年は例年になく残雪が多く,そのためか花期が遅れたよう
だ。
 

コバイケイソウ (小梅恵草) Veratrum stamineum
シナノキンバイ (信濃金梅) Trollius riederianus var. japonicus
  ユリ科シュロソウ属,キンポウゲ科キンバイソウ属

白:コバイケイソウ
高山や深山の湿地にはえる多年草。高さ1mくらいになる。葉は広楕円形で互生して長さ8〜15
cm,幅3〜5cm。円錐花序に白い花を多数つける。群生することがあるが,年によって勢いに
差がある。

黄:シナノキンバイ
高山の湿り気のある草原に生える多年草。高さ20〜70cmで,上部で枝分かれする。しばしば
群生する。花は径3〜4cm。黄色く花弁にみえるのは萼片で,5〜7個ある。


チングルマ (稚児車) Sieversia pentapetala
  

  バラ科チングルマ属

草に見えるが,落葉小低木。
高さ15cmほど,高山の雪渓近くの草地に生える。枝は地を這って羽状複葉の葉を密生させる。
枝先に直立した10cmくらいの花柄を伸ばし,先端に径2〜3cmの雄しべと雌しべが多数ある
白い花を1つつける。和名のチングルマは,羽毛をまとった実の様子を稚児車に見立てた,といわ
れる。

→チングルマ(実)
 

ミヤマクロユリ (深山黒百合) Fritillaria camtschatcensis var. alpina
  

   ユリ科バイモ属

高山の草地に生える多年草。高さ10〜50cmくらいだが,畳平では25cmくらい。茎の先端
に1〜2個の花をつける。花は暗紫褐色で,6枚ある花被片は長さ2〜3cm。両性花と雄花があ
る。

ハクサンイチゲ同様,今年は当たり年。これまで見たことのないほどの密度で咲き誇っている。花
に悪臭のあることは,意外と知られていない。
 

ミヤマキンバイ (深山金梅) Potentilla matsumurae
 バラ科キジムシロ属

高山の礫地や草地に生える多年草。高さ10〜20cm。葉は根元から葉柄をだして3枚の小葉を
つけ,長さ1〜3cmほど,先は円く縁に粗いとがった鋸歯があり,まばらに白い毛がはえる。茎
は上部で枝分かれして,先端に径2cmほどの黄色い花を数個つける。花びらの先はへこんでいて,
花弁の根元が赤茶色。黄色い梅に似た花を咲かせるところから,金梅草。
 

8月8日,10日撮影分(乗鞍岳畳平・夏 その2)はこちらから。(つづく)


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