乗鞍岳畳平・夏 その2

長野県南安曇郡安曇村,岐阜県大野郡丹生川村; 2000年8月6,8,10日撮影


乗鞍岳畳平へふたたび。春の大雪のあと雪解けが遅れたためか,高山植物も各種一斉に開いたよう
です。やや終わりかけのコマクサにアオノツガザクラ,コバイケイソウなど。

→8月6日撮影分(乗鞍岳畳平・夏 その1)へはこちらから。チングルマ,ハクサンイチゲ,ク
 ロユリなど。
 

8月8日撮影

ハイマツ (這松) Pinus pumila
 マツ科マツ属

高山帯で群落を作る常緑低木。本州中部以北の高山帯における代表的な植生である。幹は分岐して
横に拡がり,高さは1〜2m。鶴ヶ池付近にて。

乗鞍岳の長野県側,標高2500mより上は森林限界を越えてしまい,背の高い木は生えていない。
ハイマツ,キバナシャクナゲ,ウラジロナナカマドなどの潅木とガレ場や草原の高山帯植生が拡が
る。
 

イワギキョウ (岩桔梗) Campanula lasiocarpa
 キキョウ科ホタルブクロ属

高山の岩礫地や岩場に生える多年草。葉は根元に集まって付き,倒卵形または被針形,光沢がなく
ふちに粗く歯牙がある。夏,5〜15cmの花茎を伸ばし,先端に長さ2〜2.5cm,無毛で青
紫色の花を1つやや上向きにつける。岩場に目の醒めるような,青。
 

コマクサ (駒草) Dicentra peregrina
   

   ケシ科コマクサ属

火山性の高山の砂礫地に生える多年草。花の形が馬の顔に似ていることから,駒草の名がある。
葉は根生するが細かく裂けていて,パセリに似た状態。粉白色を帯びる。花茎は高さ5〜15cm
まで伸び,先端に1〜数個の淡紅色で長さ2cm程度の花を下向きに咲かせる。花弁は4個。外側
2個の基部は膨らみ先は反り返り,内側2個は幅が狭く先端が相接して突き出る。

鶴ヶ池から富士見岳を巻いて剣ヶ峰へ向かう登山道にて。


コケモモ (苔桃) Vaccinium vitis-idaea
  ツツジ科スノキ属

高山に生える高さ5〜20cmの常緑の小低木。葉は革質で厚みがあり長楕円形,長さは5〜20
mm,幅3〜10mmくらい。花はややピンクを帯びた白い5mmくらいのツリガネ型で,下向き
に咲く。実は赤く熟して径10mm弱,食べられる。ハイマツや潅木林の下生えに,苔のようにび
っしりと繁っている。

→コケモモ(実)
 

 不消ヶ池(きえずがいけ)

畳平の高山植物園からガレ場を登り,剣ヶ峰への登山道に合流するあたり。白いドームは,魔利支
天岳の国立天文台太陽コロナ観測所。今年の残雪の量には,ちょとびっくり。
 

ヨツバシオガマ (四葉塩竃) Pedicularis chamissonis var. japonica
  ゴマノハグサ科シオガマギク属

高山の草原に生える高さ20〜50cmの多年草。茎の周りに葉が4枚輪生する。草原や登山道の
法面など日当りのよいところによく見られる。
 

イワツメクサ (岩爪草) Stellaria nipponica
  ナデシコ科ハコベ属

高山の岩礫地などに生える多年草。マット状に拡がり,高さは5〜20cmくらい。葉は線形で長
さ1〜3cmで先がとがる。枝先に径1.5cmほどの1〜数個の白い花をつける。花弁は5個だ
が,2つに深く裂けているので10個あるように見える。白い小さな花には,フォーカスしにくい。
なぜか。
 

ミヤマダイコンソウ (深山大根草) Geum calthaefolium var. nipponicum
  バラ科ダイコンソウ属

高山の礫地や岩の割れ目に生える高さ15〜30cmの多年草。花茎は上部でまばらに枝分かれし
て,径2cmくらいの黄色い5弁の花をつける。よく似た花をつける植物は,畳平付近では他にシ
ナノキンバイやミヤマキンバイなどがあるが,ミヤマダイコンソウは良く目立つ径4〜14cmく
らいの大きな円形の葉を繁らせるので,見分けやすい。
 

ミヤマクロスゲ (深山黒菅) Carex flavocuspis
 カヤツリグサ科スゲ属

高さ10〜50cmの多年草。高山帯の草原に生える。葉は幅2〜5mm。7〜8月に花を咲かせ
る。
 

コイワカガミ (小岩鏡) Schizocodon soldanelloides form. alpinus
  

 イワウメ科イワカガミ属

高山の草地に生える常緑の小低木。葉は長さ,幅ともに1.5〜3cmくらいの円形または広卵形
で,表面にはつやがあり縁には低い鋸歯がある。高さ5〜10cmに直立する花茎の先に数個の花
をつける。花は筒状漏斗形,紅紫色で径1〜1.5cm,長さ1.5〜2cm。先が細かく裂ける。
和名は,近縁種のイワカガミが岩場に多く,葉に光沢があることから鏡に見立てたことによる。

残念ながら終わりかけ。アオノツガザクラ,チングルマなどとともに,道端の土手など開けた場所
に生えていることが多い。
 

アオノツガザクラ (青栂桜) Phyllodoce aleutica
   

   ツツジ科ツガザクラ属

高山に生える高さ10〜30cmの常緑小低木。湿気のある草地や岩場に群生する。葉は革質線形
で互生し,枝の上部に密集してつく。枝先に毛の生えた花柄を伸ばし,4〜7個の花が下向きに咲
く。花冠は淡黄緑色で卵状つぼ形,長さ6〜8mmで先が5裂する。

畳平のお花畑から不消ヶ池へ向かってガレ場を登っていくと,大群落。
 

コバイケイソウ (小梅恵草) Veratrum stamineum
   ユリ科シュロソウ属

高山や深山の湿地にはえる多年草。高さ1mくらいになる。葉は広楕円形で互生して長さ8〜15
cm,幅3〜5cm。円錐花序に白い花を多数つける。バスターミナルからお花畑へ下って行く遊
歩道,左側。
 

ミヤマクロユリ (深山黒百合) Fritillaria camtschatcensis var. alpina
   ユリ科バイモ属

高山の草地に生える多年草。高さ10〜50cmくらいだが,畳平では25cmくらい。茎の先端
に1〜2個の花をつける。花は暗紫褐色で,6枚ある花被片は長さ2〜3cm。両性花と雄花があ
る。バスターミナルからお花畑への遊歩道,両側に。
 

ミツバオウレン (三葉黄連) Coptis trifolia
  キンポウゲ科オウレン属

高山や深山のやや湿り気のある草原や亜高山針葉樹林内,高山のハイマツ林下などに生える常緑多
年草。葉はミツバのような3出複葉,倒卵形でやや厚く光沢がある。高さ5〜10cmの花茎の先
に白い5枚の萼片をもつ径7〜10mmの花を一つ開く。黄連は漢名で,近縁のキクバオウレンは
薬用植物として有名。根茎を胃腸薬にする。
 

ショウジョウバカマ (猩々袴) Heloniopsis orientaris
 ユリ科ショウジョウバカマ属

残念,少々ピンぼけ。
山地のやや湿ったところや渓流沿いに生える多年草。葉(根生葉)は多数つき,長さ7〜20cm,
幅は1.5〜4cmで,冬も枯れずにのこるという。春,根生葉の間から高さ10〜20cmの花
茎を立て,淡紅色から濃紅色の鮮やかな花を咲かせる。和名は花を能楽の面の猩々の赤い顔,葉を
袴に見立てたもの。

ショウジョウバカマは本来雪解け直後の早春の花。それが,8月に入ってからも...
 

8月10日撮影

ヤマホタルブクロ (山蛍袋) Campanula punctata var. hondoensis
 キキョウ科ホタルブクロ属

乗鞍高原温泉ユースホステルにて。建物わきの花壇に。
ヤマホタルブクロの白花品。シロバナヤマホタルブクロ(白花山蛍袋)とも呼ばれる。紅紫色の花
を咲かせるヤマホタルブクロは本州中部山岳地帯を中心に広く分布しするが,白花品は信州にはほ
とんど見られず,なぜか新潟県に多いという。
 

8月6日撮影分(乗鞍岳畳平・夏 その1)へはこちらから。(もどる)


→エリア別山の花写真集・インデックスへ