乗鞍岳畳平・夏 その2

長野県南安曇郡安曇村,岐阜県大野郡丹生川村; 2002年7月22日,23日撮影


今年の畳平。花の種類も例年より少ないような。既に散ってしまったハクサンイチゲのあたり年だ
ったようですが,イワギキョウはほとんど見かけず,コマクサもいまひとつ。コバイケイソウもウ
メバチソウも...
 

7月22日撮影

  さすがに,渋滞はないか。

昨日は好天に恵まれたけれど,道路は大混雑。三本滝あたりで抜かれたクルマを大雪渓のあたりで
抜き返したりして。今日は午後便,道路は空いていたけれど天気も怪しい。梅雨は明けたらしいが,
今ひとつ天気は安定していないようだ。 
 

ハクサンイチゲ (白山一花) Anemone narcissiflora
   キンポウゲ科イチリンソウ属

高山の湿り気のある草原に生える多年草。高さ15〜40cmくらい。3〜4枚の柄のない茎葉を
輪生させ,茎葉の中心から数本の花柄を散形状に出して先端に径2cmほどの花を1個づつつける。
花弁はなく,5個の白い花弁にみえるのは萼片である。

写真は鶴ヶ池周辺。このあたりはまだ盛りだが,畳平のバスターミナル下,植物園はすっかり散っ
ていた。見頃は10日ほど前と思われるが,そのときは一面真っ白になるほどの見事さ...だっ
たはず。
 

ヨツバシオガマ (四葉塩竃) Pedicularis chamissonis var. japonica
  ゴマノハグサ科シオガマギク属

高山の草原に生える高さ2〜50cmの多年草。葉は4枚が輪生し,羽根状に深裂する。茎の先に,
4個づつ輪生する花を数段つける。花冠は紅紫色だが,淡いものや白花もある。
 

 畳平駐車場付近

希少な高山植物が「道端」に無造作に生えている。これが乗鞍...そこへもってきて,あの大渋
滞。規制も止む無しか。どうしても見たい人だけ,バス代払って(あるいは自力でえっちら)登っ
て来てください,というワケ。
 

コイワカガミ (小岩鏡) Schizocodon soldanelloides form. alpinus
   イワウメ科イワカガミ属

高山の草地に生える常緑の小低木。葉は長さ,幅ともに1.5〜3cmくらいの円形または広卵形
で,表面にはつやがあり縁には低い鋸歯がある。高さ5〜10cmに直立する花茎の先に数個の花
をつける。花は筒状漏斗形,紅紫色で径1〜1.5cm,長さ1.5〜2cm。先が細かく裂ける。
和名は,近縁種のイワカガミが岩場に多く,葉に光沢があることから鏡に見立てたことによる。

左,中:畳平バスターミナル下,高山植物園
右:肩の小屋付近
 

ミツバオウレン (三葉黄連) Coptis trifolia
  キンポウゲ科オウレン属

高山や深山のやや湿り気のある草原や亜高山針葉樹林内,高山のハイマツ林下などに生える常緑多
年草。葉はミツバのような3出複葉,倒卵形でやや厚く光沢がある。高さ5〜10cmの花茎の先
に白い5枚の萼片をもつ径7〜10mmの花を一つ開く。
 

ハクサンイチゲ (白山一花) Anemone narcissiflora
   キンポウゲ科イチリンソウ属

畳平バスターミナルから植物園を経て不消池へ向かう登山道にて。不消池から湧き出す沢水が流れ
る脇にキバナシャクナゲとハクサンイチゲの群落。水辺で温度が低いせいか,こちらもまだまだ活
きがいい。
 

イワツメクサ (岩爪草) Stellaria nipponica
  ナデシコ科ハコベ属

高山の岩礫地などに生える多年草。マット状に拡がり,高さは5〜20cmくらい。葉は線形で長
さ1〜3cmで先がとがる。枝先に径1.5cmほどの1〜数個の白い花をつける。花弁は5個だ
が,2つに深く裂けているので10個あるように見える。
 

ハイマツ (這松) Pinus pumila
 マツ科マツ属

高山帯で群落を作る常緑低木。本州中部以北の高山帯における代表的な植生である。
幹は分岐して横に拡がり,高さは1〜2m。実は1年かかって熟す。国の天然記念物,ライチョウ
の住み処になっていて,このときも近くからギヤァァー,グエェェーと鳴き声がしていた。
 

ミヤマダイコンソウ (深山大根草) Geum calthaefolium var. nipponicum
  

  バラ科ダイコンソウ属

高山の礫地や岩の割れ目に生える高さ15〜30cmの多年草。根生葉は3〜5枚の小葉に裂けて
長い柄を持つ。目立つのは頂小葉で,径4〜14cmの大きな円形で縁に不ぞろいに裂けた鋸歯が
ある。花茎は上部でまばらに枝分かれして,径2cmくらいの黄色い5弁の花をつける。花びらは
円形で,先がややへこむ。和名は近縁のダイコンソウの根生葉が羽状複葉で,ダイコンの葉に似て
いることから由来する。
 

 キバナシャクナゲの群落

摩利支天岳から肩の小屋にかけての歩道際,高いガケのノリ面に。手前の細かい淡緑色は,アオノ
ツガザクラの群落。
 

キバナシャクナゲ (黄花石楠花) Rhododendron aureum
  ツツジ科ツツジ属

高山帯のハイマツ林中や岩場に生える,高さ20〜50cmの常緑低木。夏,枝先に散房状に3〜
10個の花を咲かせる。花は漏斗形で径3cmほど。
肩の小屋から主峰剣ヶ峰へ至る登山道の脇に多く見られるが,花期は比較的早く,今年は既に終わ
り。ハイマツの繁みのなかにようやく1株咲いているのを見つけた。

以下,肩の小屋付近にて。
 

タカネナナカマド (高嶺七竃) Sorbus sambucifolia
  バラ科ナナカマド属

高山帯下部の低木林中に生える,高さ1〜2mの落葉低木。葉は7〜11枚の小葉からなる奇数羽
状複葉。小葉は披針状長楕円形で長さ3〜6cm,幅1〜2cmで,縁は基部を除いて全体に鋸歯
がある。夏,径1cmくらいの白い花を多数つける。
 

アオノツガザクラ (青栂桜) Phyllodoce aleutica
  ツツジ科ツガザクラ属

高山に生える高さ10〜30cmの常緑小低木。湿気のある草地や岩場に群生する。葉は革質線形
で互生し,枝の上部に密集してつく。長さ5〜15mm,幅1〜2mm弱。枝先に毛の生えた花柄
を伸ばし,4〜7個の花が下向きに咲く。花冠は淡黄緑色で卵状つぼ形,長さ6〜8mmで先が5
裂する。
 

 県境尾根午後6時,ゲート封鎖。

畳平への門は閉じられた。三本滝からここまで,明日朝7:00までは通行止めとなる。が,三本
滝のゲートは閉じられず,夜間ここまで来ることは可能。天体観測や御来光を拝みに来る人もいる。
 

 コバイケイソウと鶴ヶ池

ゲートが閉まってしまった。自転車は脇から通り抜けできるが,早く戻らないと晩飯が...
 

イワギキョウ (岩桔梗) Campanula lasiocarpa
 キキョウ科ホタルブクロ属

高山の岩礫地や岩場に生える多年草。葉は根元に集まって付き,倒卵形または被針形,光沢がなく
ふちに粗く歯牙がある。夏,5〜15cmの花茎を伸ばし,先端に花を1つやや上向きにつける。
花冠は青紫色,鐘形で5裂し,長さ2〜2.5cmで無毛。

鶴ヶ池のほとりで毎年花を咲かせる株。傍らの白い花はイワツメクサ。今年はどうしたわけか,こ
こ以外ではまったくと言ってよいほど青紫のイワギキョウを見かけなかった。
 

 夏の夕暮れ

天気は回復した。昼間の賑わいも去って静けさを取り戻した夕暮れの乗鞍岳を後に,まっしぐら。
下山する。
 


昨日,一昨日に引き続き,畳平アタック3本目。我ながらなんと物好き...
今日は晴れたり曇ったり。チングルマやミヤマキンバイが続々と咲き出したようです。
 

7月23日撮影

 おなじみの風景

...ではあるが,天候や時間帯でイメージが変わる。今日はなんともくっきりハッキリ,夏らし
い雰囲気満点である。
 

チングルマ (稚児車) Sieversia pentapetala
   バラ科チングルマ属

高さ15cmほどの落葉小低木。高山の雪渓近くの草地に生える。枝は地を這って羽状複葉の葉を
密生させる。枝先に直立した10cmくらいの花柄を伸ばし,先端に径2〜3cmの雄しべと雌し
べが多数ある白い花を1つつける。penta(5)petala(花弁)の名の通り,花弁は5枚。

花が終わると花柱が羽毛状に3cmほど伸びる。実はこの羽状の花柱をもったそう果の集合体で,
風車のように見えることから稚児車から転じて名がついたとの説がある。
 

ミヤマキンバイ (深山金梅) Potentilla matsumurae
   バラ科キジムシロ属

高山の礫地や乾いた草地に生える多年草。高さ10〜20cm。葉柄は長さ2〜10cm,先に3
枚の小葉をつける。小葉は倒卵形で長さ1〜3cm,幅1〜2cmほど,先は円く縁に粗いとがっ
た鋸歯があり,まばらに白い毛がはえる。茎は上部で枝分かれして,先端に径2cmほどの黄色い
花を数個つける。花びらの基部は橙色を帯び,先はへこんでいる。
 

  畳平高山植物園

晴れていれば暑いが,一旦雲に取り込まれて霧の中に入ると気温は急激に下がる。風が強い日は寒
いくらい。
 

  下山前にワンショット

修学旅行の子供たちを迎えにきた,バスの群れ。壮観ですらある。次は自転車で登ってやろう,な
どと考える奴が出てくるとオモシロイのだが。

今年の畳平初詣で,無事終了。次は8月末のサイクリング大会。
 


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