乗鞍エコーライン

長野県南安曇郡安曇村; 2002年7月21日,23日撮影


乗鞍高原鈴蘭から畳平まで距離21km,標高差1250mの山岳道路,県道84号線乗鞍エコー
ライン。一般車が通行可能な山岳道路としてはおそらく日本一の標高2710mまで登りつめます。
(県道84号乗鞍岳線はその先摩利支天岳方面まで伸びていますが,一般車は通行禁止)

この風光明媚な山岳道路も,来年からは通年マイカー規制が行われてバス・タクシー(と,自転車)
のみ通行可となります。排ガスにさらされていた道端の花々にとってはいいニュース,だろうか?

ツラい登り道,ひととき目を楽しませてくれる高山植物と山野草の花・道端編。
 

7月21日撮影

まずは畳平,標高2710mの長野/岐阜県境,通称県境尾根にて。

ミヤマキンバイ (深山金梅) Potentilla matsumurae
  バラ科キジムシロ属

高山の礫地や草地に生える多年草。高さ10〜20cm。根元から葉柄をだして3枚の小葉をつけ,
各小葉は長さ1〜3cmほど,先は円く縁に粗いとがった鋸歯があり,まばらに白い毛がはえる。
茎は上部で枝分かれして,先端に径2cmほどの黄色い花を数個つける。黄色い梅に似た花を咲か
せるところから,金梅草。
 

 鶴ヶ池

長野県側から畳平を訪れる際にまず目にする池。年によっては干からびていることもあるが,今年
の水量は多く,雪も残っていた。付近の道端ではコマクサ,イワツメクサ,ミヤマキンバイ,ミヤ
マダイコンソウ,ヨツバシオガマ,イワギキョウ,コイワカガミ,アオノツガザクラ,トウヤクリ
ンドウ(8月以降)などが見られる。
 

 下山開始!

ひととおり畳平を楽しんだ後,下山する。日曜も午後になればクルマも減って,快適。空には夏雲
が浮かぶ。道々,登りながらチェックしておいた高山植物を撮りながら,のんびり下ることにする。
 

コバイケイソウ (小梅恵草) Veratrum stamineum
   ユリ科シュロソウ属

高山や深山の湿地にはえる多年草。高さ1mくらいになる。葉は広楕円形で互生し,長さ8〜15
cm,幅3〜5cmで葉脈が目立つ。円錐花序に白い花を多数つける。

位ヶ原上部,森林限界を越えたあたり。背後に写っているのはハイマツ。
 

ウサギギク (兎菊) Arnica unalaschcensis var. tschonoskyi  別名 キングルマ
  キク科ウサギギク属

高山の草地に生える多年草。高さ10〜30cm。葉は対生して倒卵状長楕円形〜倒披針形,長さ
は5〜15cm弱で先がするどい。全体に短い毛が生える。夏,対生または互生する小さな葉をつ
けた花茎を伸ばし,先に径4〜5cmの黄色い花を一つつける。長く一対出る葉の様子をウサギの
耳に見立てた。

位ヶ原中部の道端に多い。自転車で登っていると,もっともキツく感じるあたり。このウサギギク
ゾーンを登り切ると,はるかにゴール地点が見えてくる...
 

モミジカラマツ (紅葉唐松) Trautvetteria caroliniensis var. japonica
  キンポウゲ科モミジカラマツ属

亜高山〜高山帯の湿った草地などに生える多年草。高さ30cmほど。根生葉は円形で7〜9個に
裂け,鋸歯がある。茎葉は小型でてのひら状に3〜5個に裂ける。茎の先に散房花序を出し,径1
cmほどの白い花を数個咲かせる。花弁はない。
葉の形がモミジに,花の様子がカラマツの葉ににていることからこの名がある。

ウサギギク・ゾーンに隣接,位ヶ原中央部にて。
 

アヤメ (文目) Iris sanguinea
  

 アヤメ科アヤメ属

山地帯の湿原やその周辺に生える多年草。葉は長さ30〜50cm,幅0.5〜1cmの細い剣状
で,脈は目立たない。葉の間から高さ30〜60cmの花茎を伸ばし,径7〜8cmの紫色の花を
咲かせる。外花被片3個は広倒卵形で先は丸く,基部は狭くなって白,黄色,紫色の虎斑模様があ
る。和名は外花被片の基部に稜になった目があることから,文目(あやめ)とつけられたというが,
他に諸説ある。

こちらはぐっと下って,冷泉小屋下の亜高山針葉樹林帯の中。亜高山帯に見られるアヤメ属はヒオ
ウギアヤメだけだそうだが,ここは標高2000mを超えたあたり。山地帯というには高すぎるが
日当りがよいので進出したのかもしれない...誰かが植えたなんてことは,ないだろうな?
 

ゼンテイカ (禅庭花) Hemerocallis middendorffii var. esculenta  別名 ニッコウキスゲ(日光黄菅)
   ユリ科ワスレグサ属

山地や高山の草原などに群生する高さ50〜80cmの多年草。花茎の先は枝分かれして数個の濃
い橙黄色の花をつける。花は下から順に咲く。花は径7〜8cmの漏斗状鐘形で,花びら状の花被
片は6個,下部の筒型の部分は1〜2cmで上部は少し反り返る。
別名は日光に多いことにちなんでニッコウキスゲ。こちらの名前ほうが有名か。

アヤメ・ポイントからさらにちょっと下ったあたり。クルマでは気づかないかもしれない。
 



 

7月23日撮影

 今日はいい天気。

昨日は怪しい雲に覆われていたが,今日はスッキリ。陽に焼けそう...
今日は登りながら,撮りもらした植物の撮影。
 

シナノオトギリ (信濃弟切) Hypericum kamtschaticum var. senanense
  オトギリソウ科オトギリソウ属

岩場に生える高山植物だが,亜高山帯の林縁にも生える多年草。高さ30cmほどになる。葉は卵
状楕円形で長さ2cmほど,明点がある。夏,径2cmほどの黄色い花を咲かせる。山野に生える
同属のオトギリソウは薬草として用いられる。和名は,秘薬を人にもらした弟を兄が怒って斬った,
という伝説に由来するという。

今年はこれが目に付いた。満開の株にアップでせまるととても美しい。冷泉小屋前を過ぎて位ヶ原
山荘に至るつづら折れカーブにて。
 

ミヤマアキノキリンソウ (深山秋黄輪草) Solidago virga-aurea var. leiocarpa  別名 コガネギク
   キク科アキノキリンソウ属

亜高山〜高山帯の草地や林縁に生える多年草。高さは15〜60cm。葉は卵形から狭くて長い楕
円形,先端はとがり,縁にもとがった鋸歯がある。茎の上部に円錐状または穂状に集まった径15
mmくらいの黄色い花を咲かせる。和名は秋に咲く,キリンソウに似た花の意だが,キリンソウは
ベンケイソウ科の植物で,キク科ではない。

エコーラインの道端にも多く生える。特に位ヶ原ウサギギク・ゾーンから上でよく見られる。
 

 大雪渓手前

涼しげな風が吹き抜ける。傍らには,雪解け水がほとばしる。水を汲んで,ひと息いれる。
 

ウラジロナナカマド (裏白七竃) Sorbus matsumurana
  バラ科ナナカマド属

亜高山の林縁や高山帯下部の低木林中に生える,高さ1〜2mの落葉低木。葉は9〜13枚の小葉
からなる奇数羽状複葉。小葉は長楕円形で長さ3〜6cm,幅1〜2cmで裏面が粉白色を帯びる。
葉の縁の1/3くらいには鋸歯がない。夏,径1cmくらいの白い花を多数つける。
 

ヤマガラシ (山芥子) Barbarea orthoceras  別名 ミヤマガラシ
   アブラナ科ヤマガラシ属

山地帯から高山帯の湿った礫地に生える多年草。高さ15〜50cmの株立ちとなる。茎の中部か
ら下につく葉は羽状に深く裂けるが頂裂片は大きく,円形〜楕円形。葉の基部は茎を抱く。茎の上
部の葉は分裂せず,長楕円形。茎の先に十数個の径1cmほどの黄色い十字状の花をつける。
県境尾根のゲートのすぐ傍の道端。

以下,県境尾根付近の道端にて
 

ミヤマハタザオ (深山旗竿) Arabis lyrata var. kamtschatica
   アブラナ科ハタザオ属

山地から高山帯の岩の間や砂礫地に生える高さ10〜50cmの多年草。根元の葉は倒卵形で柄が
あり,倒卵形で先が円い。茎葉は細く線形で,長さ1〜15cm。径10mmくらいの白い十字状
の花をまばらにつける。
 

イワツメクサ (岩爪草) Stellaria nipponica
  ナデシコ科ハコベ属

高山の岩礫地などに生える多年草。マット状に拡がり,高さは5〜20cmくらい。葉は線形で長
さ1〜3cmで先がとがる。枝先に径1.5cmほどの1〜数個の白い花をつける。花弁は5個だ
が,2つに深く裂けているので10個あるように見える。
 

 位ヶ原を降りきって

午後おそく,下山にかかる。穂高連峰が雲間に見え隠れ。夏場の,それも午後になって穂高連峰が
見えていることは,あまりない。
 


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