乗鞍岳畳平・秋 その1

長野県南安曇郡安曇村,岐阜県大野郡丹生川村; 2002年8月29日撮影


4日前に開催された全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍。自転車で乗鞍高原鈴蘭から畳平まで
距離21km,標高差1200mを一気に駆け上がる山岳ヒルクライムレースです。今年の参加者
はなんと4300人,しかも申し込み開始から15日で定員一杯になって締め切られたという...

当日,ゴールの畳平は大混雑。花どころではなかったので,今日改めて畳平へ1往復。ゆっくりと
見てまわることにしましょう。
 

 休暇村手前,鈴蘭橋より

レース当日は雨の予報まで出ていたが,なんの。ピーカンの激晴れ。こうなると暑さでかえって参
ってしまう。その熱気が今日まで後をひいている。ここへきて大盛り上がりに輝きだす,今年の夏。
 

ウラジロナナカマド (裏白七竃) Sorbus matsumurana
 バラ科ナナカマド属

亜高山の林縁や高山帯下部の低木林中に生える,高さ1〜2mの落葉低木。葉は9〜13枚の小葉
からなる奇数羽状複葉。小葉は長楕円形で長さ3〜6cm,幅1〜2cmで裏面が粉白色を帯びる。
球形または広楕円形で径1cmくらいの赤い実をつける。

晩秋には深紅に紅葉して美しいナナカマド。しかし,この暑さ。さすがに紅葉はまだ先。
 

  位ヶ原にて

青空へ向かって駆け上がる! ...といいたいところだが,実はすでにへろへろ。
しかし目を転ずれば,穂高連峰に槍ヶ岳も見える。秋の長雨や台風シーズンを控えて雲のでやすい
この時期に,こんなに綺麗に見えるとは。
 

 畳平到着!

あいかわらず道路は大混雑。畳平を前にして,手前3km地点からピクリとも動かない車の列。ほ
とんどのクルマがあきらめてUターンしていた。マイカー登山が規制されても,渋滞しらずのシャ
トルバスでさっさと畳平に入った方が,かえって便利。

どうしても自分で運転して行きたい! ...という方はどうぞ。自転車で。
 

コウメバチソウ (小梅鉢草) Parnassia palustris var. tenuis
   ユキノシタ科ウメバチソウ属

高山の草地や岩上にはえる多年草。高さ5〜15cm。葉は根元に集まって付き,丸く1〜2cm
ほどで基部は心形。白い花は径15〜20mm。梅の花に似ていて梅鉢の紋を連想させるが,よく
みるとなかなか複雑な構造をしている。

初秋の花らしく,8月の半ばを過ぎた今が盛り。
 

ミヤマキンポウゲ (深山金鳳花) Ranunculus acris var. nipponicus
 キンポウゲ科キンポウゲ属

亜高山〜高山帯の草原に生える多年草。高さ10〜50cm。葉は円形で径3〜8cmほどだが,
3〜5つに深裂する。茎はよく枝分かれする。花は数個が茎の上部に散房花序につき,径約2cm
で花弁には光沢がある。萼片は船形で外側に長毛がある。

もう盛りをすぎて,遊歩道沿いにちらほら咲き残っている状態。
 

イワギキョウ (岩桔梗) Campanula lasiocarpa
   キキョウ科ホタルブクロ属

高山の岩礫地や岩場に生える多年草。葉は根元に集まって付き,倒卵形または被針形,光沢がなく
ふちに粗く歯牙がある。夏,5〜15cmの花茎を伸ばし,先端に花を1つ,やや上向きにつける。
花冠は青紫色,鐘形で5裂し,長さ2〜2.5cmで無毛。

先月20日頃来たときはほとんど見かけなかったが,単に時期が早すぎただけらしい。今回はやや
ピークは過ぎていたものの,そちらこちらに印象的な青紫が揺れていた。
 

ウサギギク (兎菊) Arnica unalaschcensis var. tschonoskyi  別名 キングルマ
 キク科ウサギギク属

ウサギギク。高山の草地に生える多年草で高さ10〜30cm。長く一対出る葉の様子をウサギの
耳に見立てた。黄色い,いかにも「キク」という花を咲かせるが,花は既に終わってこれから実が
熟すところ。

右上隅に白いコウメバチソウとその葉が繁っているのが見える。
 

 畳平,高山植物園

秋色ただよう畳平。ハクサンイチゲやミヤマクロユリなど,早咲き派がそろそろ黄色くなり始めた。
もうしばらくするとミヤマキンバイ,ミヤマダイコンソウなどの葉が赤く染まって,草紅葉となる。
 

オヤマリンドウ (御山竜胆) Gentiana makinoi
  リンドウ科リンドウ属

亜高山帯〜高山帯の草地に生える多年草。高さ20〜60cm。葉は対生して広被針形または狭卵
形,長さ2.5〜7cm,幅0.5〜2.5cm。縁はなめらか。直立した茎の先端とすぐ下の葉
の脇に数個の花をつける。花冠は濃い紫色で長さ2〜3cm,平開しない。

大振りで目立つが,数は多くない。植物園で毎年花を咲かせる株。
 

チングルマ (稚児車) Sieversia pentapetala
  バラ科チングルマ属

高さ15cmほどの落葉小低木。高山の雪渓近くの草地に生える。夏に径2〜3cmほどの白い5
枚の花びらを持つ花を咲かせる。花が終わると花柱が羽毛状に3cmほど伸び,風車のように見え
る。
 

 空は真夏だが,地上はもう秋。
 

ミヤマアキノキリンソウ (深山秋黄輪草) Solidago virga-aurea var. leiocarpa  別名 コガネギク
  キク科アキノキリンソウ属

亜高山〜高山帯の草地や林縁に生える多年草。高さは15〜60cm。葉は卵形から狭くて長い楕
円形,先端はとがり,縁にもとがった鋸歯がある。茎の上部に円錐状または穂状に集まった径15
mmくらいの黄色い花を咲かせる。和名は秋に咲く,キリンソウに似た花の意。

これももうぼちぼち,終わりかげん。
 

ハクサンイチゲ (白山一花) Anemone narcissiflora
 キンポウゲ科イチリンソウ属

高山の湿り気のある草原に生える多年草。高さ15〜40cmくらい。3〜4枚の柄のない茎葉を
輪生させ,茎葉の中心から数本の花柄を散形状に出して先端に径2cmほどの白い花を1個づつつ
ける。

今年はかなり勢いがあったようだが,花の見頃は7月上旬だったようだ。葉が黄色く変わり,花茎
が伸びて先端に実をつけている。
 

トウヤクリンドウ (当薬竜胆) Gentiana algida
  

   リンドウ科リンドウ属

高山の砂礫の多い草地に生える多年草。高さ10〜30cm。多くの葉を叢生する。葉は対生して
広線形または線状披針形で長さ3〜15cm,幅0.5〜1.5cm。花茎の葉はより小さく,幅
広で広被針形または被針形。花茎の上部に1〜5個の鐘状の花をつける。
花冠は長さ3.5〜5cm,淡黄色で緑色の斑点があり,先は5裂する。当薬竜胆の名は,薬草と
して用いられたことに由来するらしい。
 

 トウヤクリンドウ・ゾーン

畳平の高山植物園の,一番奥まったエリア。今年は暑かったので,すでに終わりかと気をもんでい
たが,ちょうど満開の盛りだった。やがて花は黄色く透けてくるように枯れ,畳平には本格的な秋
が訪れる。
 

  ミヤマアキノキリンソウ・ゾーン

遊歩道が二手に分かれて周回コースとなる分岐点のあたり。毎年,黄色い花の群落が夏の名残を伝
えてくる。
 

ヨツバシオガマ (四葉塩竃) Pedicularis chamissonis var. japonica
 ゴマノハグサ科シオガマギク属

高山の草原に生える高さ2〜50cmの多年草。葉は4枚が輪生し,羽根状に深裂する。夏に咲か
せる赤紫色の花も印象的だが,実のほうもなかなか風情がある。
 

 遊歩道が整備されている

「二車線」の立派な木道が出来ていた。両サイドにはロープも張られ,こうなってしまうともう道
を外れて踏み出すことは出来ない。まあ,そんなことしなくても,高山植物は足元にいくらでも咲
いているのだが。
しかし,歩きやすくはなったが子供が駆けずり回ったりしてこれはこれで危険。しっかり見ていて
あげてください,お父さんお母さん。
 

 青い風が吹き抜ける

摩利支天岳,太陽コロナ観測所の入り口付近の鞍部にて。足元に乗鞍高原,その向こうに松本盆地。
鳥になった気分。
 


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