蓼科スカイラインと大河原峠

長野県茅野市,佐久市,北佐久郡立科町,望月町; 2002年7月27日撮影


ビーナスラインとともに2002年度から無料化された有料道路,蓼科スカイライン。自転車はも
とから無料でしたが。女神湖のある蓼科牧場から御泉水自然園,蓼科山七合目登山口などを経て,
終点の大河原峠は標高2093m。ながらくダート(未舗装区間)の残る林道でしたが,5〜6年
前に全線舗装されました。でも,途中のトキン岩付近にはときたま野生のニホンザルの群れも現れ
る,野性味あふれた山岳ルートです。

今日は白樺湖からひと走り,大河原峠まで。さらに峠に自転車を置いて,双子岳から北八ヶ岳の森
の中でひっそりと水を湛える双子池を目指します。
 

ノアザミ (野薊) Cirsium japonicum
  キク科アザミ属

各地の山野に普通にみられる多年草。高さ50cm〜1m,上部で枝分かれして全体に白毛がある。
葉は互生して羽状に深く裂けて先端は刺となる。花は径4〜5cmで紅紫色,枝の先端に直立上向
きにつく。低地では春咲きのアザミであるが,高原などでは夏に咲く。
右は綿毛を持った痩果(種子)を飛ばしているところ。タンポポそっくり。そういえば,タンポポ
もキク科であった。

白樺湖ユースの駐車場にて。
 

 女神湖

白樺湖から5.5km。蓼科牧場前から林道に乗り入れてひと登り,女神湖がすっきり見渡せる。
女神湖は白樺湖と同じく人造湖。農業用タメ池として,冷たい山水を集めて暖めてから里へ落す。
 

ハクサンフウロ (白山風露)  Geranium yesoense var. nipponicum
   フウロソウ科フウロソウ属

高原や高山の草地に生える多年草。高さは30〜80cm。葉は幅が5〜6cmで,てのひら状に
大きく5〜7裂,それぞれの裂片はさらに細かく分裂し,両面にあらい毛がある。紅紫色の花は径
2.5〜3cm。花弁の基部に白い軟毛がある。名前は石川県の白山にちなむが,信州各所で見る
ことができる。

蓼科スカイラインの道端にて。ここは花の多いルート。特に御泉水自然園付近の道端ではフウロソ
ウやウスユキソウ,オダマキなどが目を楽しませてくれる。
 

ウスユキソウ (薄雪草) Leontopodium japonicum
  キク科ウスユキソウ属

低山帯の乾いた草地や岩礫地に生える多年草。高さ20〜60cm。茎は薄く綿毛を持つ。葉は長
さ4〜5cmの披針形か狭い長楕円形で,先がとがる。裏面には綿毛が密生して白色。茎の先端に
6〜7個の花がかたまってつく。白い花びらに見えるのは苞葉で,楕円形で数個あり,白い綿毛が
両面に密生する。花は綿毛を持つ白い総苞と筒状花の小花の集合体で径約5mm。頭花によって雄
花の多いものと雌花が多いものがある。

ヨーロッパアルプスの3大名花の一つとされているエーデルワイスの仲間。かの地では山懐深くに
分け入らないと見られない希少種になってしまったようだが,片や道端に雑草状態でわさわさ。処
かわれば,なんとやら。
 

ホソバノキリンソウ (細葉ノ黄輪草) Sedum aizoon
  ベンケイソウ科キリンソウ属

山地の岩混じりの場所に生える多年草。多肉質。葉は菱状楕円形で鋭い鋸歯をもち,先端は鋭く尖
ることが多い。キリンソウによく似ているが,葉がキリンソウよりも細く見えることが多いことか
らホソバノ〜,と呼ばれる。和名のキリンはビールのラベルについている「麒麟」ではなく,黄色
い花が積み重なる様子から「黄輪」,なのだそうだ。

間もなく御泉水。カラマツの森が広がる。蓼科山登山口を過ぎてしばらくゆくと,道幅もぐっと狭
くなって深山幽谷のたたずまいに。
 

ヤマオダマキ (山苧環) Aquilegia buergeriana
  キンポウゲ科オダマキ属

深山の林の縁や道端に生える多年草。高さ30〜50cmかそれ以上。茎はまばらに枝分かれして,
先に径3〜3.5cmの花を下向きにつける。花弁は5個で先はクリーム色,基部はわずかに外側
に反って距(角状の部分)になる。萼はとがった卵形,紫褐色でやはり5個ある。萼も淡黄色にな
っているものも多く,キバナノヤマオダマキと呼ばれる。

トキンの岩,標高2000m付近にて。このあたり,野生のニホンザルが多い。今回も叫び声を耳
にした。自転車に乗ったサルもよく出没するらしいが,誰のことだ?それは。
 

イワアカバナ (赤葉菜?) Epilobium cephalostigma
   アカバナ科アカバナ属

山地の湿地に生える多年草。高さ20〜50cm。葉は対生し,長楕円形〜披針形で長さ2〜10
cmくらい,幅0.5〜3cmくらい。先はとがり縁には鋭い鋸歯がある。夏,茎の上部の枝に径
5〜8mmほどの白ないし淡い紅色の花を咲かせる。花弁は4個で先は浅く2裂する。雌しべの先
(柱頭)は頭状にふくらんでいる。
名前については,秋が近づくと葉が赤くなることに由来するという説がある。漢字はそれを当てた
もの,でもちょっと怪しげ。
 

ソバナ (岨菜) Adenophora remotiflora
  キキョウ科ツリガネニンジン属

山地の木陰や斜面に生える多年草。高さ60cm〜1m。葉は互生して長卵形,先は尖り縁にはあ
らく鋸歯がある。長さは5〜10cm程度。夏,梢から花柄を出して青紫色の花をうつむき加減に
下向きに咲かせる。花冠は長さ2〜3cmで漏斗状鐘形,先は5裂して開く。和名の由来について
は不明だが,自生地である崖になった土地を示すソバ(岨)とする説がある。菜は若芽を食用とす
るところから。

道路際の湿った崖に群生する。風情があるがなにぶんガケの上。目一杯腕を伸ばしても,この程度。
 

レイジンソウの仲間 (伶人草) Aconitum sp.
  キンポウゲ科トリカブト属

山地の木陰に生える多年草。高さ50〜80cm。根生葉には長い柄があり,さしわたし10cm
ほど,てのひら状に5〜7裂する。花は茎の先や葉の脇について長さ2.5cmほど,淡紫色。和
名は花の形が伶人(舞楽の奏者)の冠に似ているところから。猛毒をもつトリカブトの仲間。
 

 間もなく大河原峠到着!

大河原峠は縞枯山,横岳などの八ヶ岳北部の山域を構成する山々と蓼科山・前掛山を区切る峠。蓼
科山は北八ヶ岳とは独立して扱われているようだ。蓼科山頂までは前掛山を経由して1時間30分
ほど。
しかし前掛山とはよく言ったもの。おわんを伏せたような蓼科山とセットにして乗鞍岳など遠くか
らみると,前方後円墳あるいは横から見たスリッパ。ひと目で判る。
 

 双子山へ登る

双子山へは20分ほど。ひろびろと見晴らしのよいハゲ頭。蓼科山,深い森におおわれた横岳,間
に横たわる明るい天祥寺ヶ原の谷など,眺めは抜群。
 

シラタマノキ (白玉ノ木) Gaultheria pyroloides
  ツツジ科シラタマノキ属

亜高山帯の荒地に生える常緑の小低木。茎は地をはい,先が斜めに立ち上がって高さは10〜30
cmになる。葉は互生し,革質で楕円形,先がまるく長さ1.5〜2.5cm,幅1〜2cm。
上部の葉の脇や枝先から総状花序を出し,2〜6個のつぼ形の花を下向きに咲かせる。花冠は白く
径6mmほど,先は浅く5裂する。名前は果実の様子から。果実は白い球形で径約8mm,つぶす
とサロメチールの匂いがするという。
 

ホソバノキソチドリ (細葉ノ木曽千鳥) Platanthera tipuloides var. sororia
  ラン科ツレサギソウ属

亜高山帯から高山帯の林縁や草地に生える多年草。高さ20〜40cm。葉は楕円形で長さ4〜8
cm。茎の先に10〜20個の黄緑色の小さな花をつける。唇弁の長さは5〜6mm。
この仲間,サギソウ,トンボソウ,なんとかチドリなど,いずれも花の形に由来する名がつけられ
ている。たしかに,羽根を広げた鳥の姿にもトンボの形にも見える。
 

ゴゼンタチバナ (御前橘) Cornus canadensis
 ミズキ科ゴゼンタチバナ属

亜高山帯の針葉樹林下などに生える多年草。高さ7〜12cm。茎の先に2〜3対の葉が輪生状に
つく。葉はひし形状の楕円形ないし長楕円形で長さ2〜6cm,幅1〜3cm。両端がとがる。
夏,茎頂に径1.5〜2cmほどの白い花序をつける。花弁に見えるのは総苞片で,花はその中心
に十数個。小さく目立たない。
 

双子山山頂を通り抜け,大河原峠とは反対側に樹林の中を下ると双子池。雄池と雌池,ひっそりと
寄り添う2つの小さな池である。

→双子池と北八ヶ岳の森



双子池ヒュッテ前から林道へ出て遠回り,大河原峠に戻る。約1時間。林道大河原峠線は一応自動
車も通れるようだが,がらがらのダート。入り口には鎖が張ってあって,一般車通行禁止となって
いる。
 

 駐車していたクルマも大分減った

日もすっかり傾いた。そろそろ下山しよう。
 

 御泉水の森

蓼科山中腹に広がるカラマツの森。湧水も豊富なところ。高山植物園と遊歩道が整備され,ふもと
の蓼科牧場から通年営業のゴンドラリフトが来ている。
ここ,秋の黄葉が見事。黄色くなったカラマツの葉が傾いた午後の陽射しの中で散って行く様子は
金色の雨が降るよう。
 

イブキジャコウソウ (伊吹麝香草) Thymus serpyllum ssp. quinquecostatus
   シソ科イブキジャコウソウ属

低山帯から高山帯の乾いた草地や岩礫地に生える小低木。幹は地面をはって分枝し,枝先は高さ2
〜10cmに立ち上がる。葉は卵状長楕円形で長さ4〜12mm,幅2〜5mm。枝先に短い花穂
を出し,紅紫色の唇形の花を咲かせる。花冠はさしわたし1cm弱。
アジア東部の温帯,寒帯に広く分布する。全体に芳香がある。シソ科のハーブ,タイムの仲間。
 

  道端にて,夕陽を浴びて。

御泉水自然園よりも下,蓼科牧場に近いあたりの道路際。
 


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