八島湿原・霧ヶ峰 その1

長野県諏訪市,諏訪郡下諏訪町; 2000年8月12日撮影


ビーナスラインの料金所からグライダーの滑走路,ドライブインの建て込んでいるあたりがいわゆ
る「霧ヶ峰」のイメージですが,白樺湖,車山から強清水,沢渡,八島ヶ原,鷲ヶ峰から和田峠ま
での一帯を指して霧ヶ峰高原とされています。ビーナスライン霧ヶ峰区間の最高所,車山肩のとこ
ろから北を望むと,八島ヶ原から鷲ヶ峰までひとつながりの高原に見えます。
 

 ビーナスライン霧ヶ峰料金所

「霧ヶ峰」から和田峠方向に進むと森に入ります。沢渡(さわたり)というバス停のあたりでビー
ナスラインから別れて山道を行くと,旧御射山(もとみさやま)。鎌倉時代の諏訪社祭事の遺跡と
言われています。御射山ヒュッテ前から八島ヶ原に向かって遊歩道が整備されていますが,ここは
高山植物・高原植物の宝庫。

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カワラナデシコ (河原撫子) Dianthus superbus var. longicalycinus  別名 ナデシコ
  ナデシコ科ナデシコ属

歩き始めてまず目に付くのはこれ。御射山ヒュッテ付近にて。
山野の日当りのよい草原などに生える多年草。高さ30cm〜1m弱くらい。茎の上部が枝分かれ
して,淡紅紫色の花をひらく。萼は細長い円筒形で先端は5つに裂けている。花弁は5枚あり,先
が深く裂け,基部には毛がある。秋の七草。
 

コバギボウシ (小葉擬宝珠) Hosta albo-marginata
 ユリ科ギボウシ属

日当りのよい湿地に生える多年草。葉は斜めに出て長さ10〜20cm,幅5〜10cmで楕円形
か卵形。高さ30〜40cmの花茎をだし,ラッパ形で長さ4〜5cm,紫の濃淡を持つ花を横向
きないしやや下向きに咲かせる。若芽は山菜として珍重される。おひたしにするとやや「ぬめり」
があって,マヨネーズ醤油が佳。

擬宝珠(ぎぼうし)は橋の欄干についている飾りのこと。山地に生え,林道のノリ面にも良く見ら
れるのはオオバギボウシ。
 

ツリガネニンジン (吊鐘人参) Adenophora triphylla var. japonica
   キキョウ科ツリガネニンジン属

高原の草地などに生える多年草。茎は高さ1m近くになり,夏から秋にかけて枝先に円錐花序をつ
け,茎を中心に環のように青紫色の花を下向きに咲かせる。花は長さ2cmほど,釣鐘型で先は5
裂して反り返る。若芽は食用に,根は薬用にされる。このあたり,シャジン類も多く見られる。
 

コウゾリナ (髪剃菜) Picris hieracioides var. glabrescens
   キク科コウゾリナ属

山野の道端などに生える2年草。高さ30〜100cm。葉は長さ6〜10cm程度の倒披針形。
茎は上部で枝分かれして,径2〜2.5cmの黄色の舌状花からなる小花が多数集まった頭花をつ
ける。茎や葉に剛毛を持ち,さわると引っかかるところから剃刀にたとえたものが訛ってコウゾリ
ナとなった。ニガナやタンポポの近縁。アップで迫ると,タンポポそっくり。
 

ノアザミ (野薊) Cirsium japonicum
 キク科アザミ属

各地の山野に普通にみられる多年草。高さ50cm〜1m,上部で枝分かれして全体に白毛がある。
葉は互生して羽状に深く裂けて先端は刺となる。花は径4〜5cmで紅紫色,枝の先端に直立上向
きにつく。低地では春咲きのアザミであるが,この辺では夏に咲く。
 

ヤマオダマキ (山苧環) Aquilegia buergeriana
 キンポウゲ科オダマキ属

深山の林の縁や道端に生える多年草。高さは30〜50cm以上。茎は上部でまばらに枝分かれし,
先に径3〜3.5cmの花を下向きにつける。花弁は5個で先はクリーム色,基部はわずかに外側
に反って距(角状の部分)になる。覆いのように見える萼はとがった卵形で,紫褐色または淡黄色
で5個ある。萼が淡黄色のもの(写真の株)は,キバナノヤマオダマキと呼ばれる。
和名は,麻糸を巻いた昔の道具(苧環)に花の形が似ていることに由来する。
 

ヨツバヒヨドリ (四葉鵯) Eupatorium chinense var. sachalinense
 キク科フジバカマ属

やや高い山地の草原などに生える高さ1mほどの多年草。あまり枝分かれせず,数本が株立ちする。
葉は3〜5枚が輪生し長さ10cmほど,細長い楕円形で先がとがる。花は白から淡紅紫色。
ヒヨドリが鳴く頃花が咲き始めることから,ヒヨドリバナの名がついたといわれる。
 

シシウド (猪独活) Angelica pubescens
  セリ科シシウド属

山地の斜面ややや湿った日当りのよいところに生える多年草。高さ1〜1.5mほど。茎の先に,
花火のような大型の花序をつける。和名の猪独活は大型でイノシシが喰うウドの意だが,ウド(ウ
コギ科タラノキ属)と違って食用にはならない。
 
 

ヤナギラン (柳蘭) Epilobium angustifolium
  アカバナ科アカバナ属

日当りのよい草地に生える多年草。茎は直立し1〜1.5m,葉は先の尖った長楕円形で多数互生
して長さは10〜15cm。茎の先端に長さ10〜50cmくらいの花序を総状につけ,紅紫色の
花が下から咲きあがる。花は4弁で径2〜3cm。和名は,葉の形が柳の葉に似ていてランのよう
な花を咲かせることによる。
荒地や野原,森林の焼け跡などに真っ先に入り込んでくる。斜面をピンクに染めるほど群生するこ
とがある。
 

コオニユリ (小鬼百合) Lilium leichtlinii var. tigrinum
   ユリ科ユリ属

日当りのよい山地の草原に生える多年草。高さ1〜2mになる。葉は線状披針形で長さ10〜15
cm,幅0.5〜1cm。ムカゴはつかない。茎の先端と上部の葉の脇から花柄を出して,橙色の
径7〜8cmの花を咲かせる。花被片は6個で黒紫色の斑点があり,くるりと反り返る。
クルマユリによく似るが,クルマユリは葉が茎の一箇所から放射状に輪のように生えるので区別で
きる。
 

 遊歩道

旧御射山(もとみさやま)から八島ヶ池へ。鷲ヶ峰を仰ぎつつ。
 

フシグロセンノウ (節黒仙翁) Lychnis miqueliana
 ナデシコ科センノウ属

山地の林下などに生える多年草。高さ40〜100cmになる。茎は直立し,節が黒褐色を帯びる。
花は茎の先につき,朱赤色で径約5cm。センノウは,この仲間の植物があった寺の名前に由来す
るそうだ。ちょっと距離があったので,目いっぱいズームで寄ってもこの程度。バックに霞むゼブ
ラ山。
 

マルバダケブキ (丸葉岳蕗) Ligularia dentata
  キク科メタカラコウ属

高さ1m近くになる大型の多年草。フキに似た径40cmくらいの丸くて大きな葉をつける。深山
のやや湿り気のある場所に見られる。花は黄色で散房状,径は8cmほどと大型。山道を自転車で
走っていると,目立つせいかあちこちで良く見かける印象がある。
 

メタカラコウ (雌宝香) Ligularia stenocephala
  キク科メタカラコウ属

深山の湿地などに生える多年草。高さ1mほど。茎は直立して枝分かれしない。根生葉は長い柄を
持ち,三角状の心形でかどが尖る。茎の先に総状に黄色い頭花をつける。頭花は花弁状の舌状花1
〜3個と数個の筒状花からなる。花冠の長さは2cmほど。
和名のタカラコウは竜脳香,根茎の香りに由来するらしい。
 

 八島ヶ池とシシウド

やや天気怪し。
 

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