八島湿原 その1

長野県諏訪市,諏訪郡下諏訪町; 2002年7月25日撮影


2002年度より無料化された観光道路,ビーナスライン。料金所も撤去される徹底ぶりです。
それもあってか,夏場のこのシーズンのビーナスラインは駐車場という駐車場があふれかえります。
駐車場待ちの車で渋滞し,通過交通にも支障をきたすほど。道路管理者,ついに業を煮やしたか八
島ヶ原には駐車禁止,霧ヶ峰または和田峠からのシャトルバス利用という交通規制に踏み切りまし
た。まあ,それぐらいやらないとどうしようもないでしょう。来年からマイカー規制が実施される
乗鞍岳といい...自然の懐深くにマイカーで入っていける時代はもう終わりにしないと。
 

  八島ヶ池

なぜかこの夏の時期,ここで好天に恵まれたことがない。なぜか。
 

タチフウロ (立風露) Geranium krameri
 フウロソウ科フウロソウ属

山野の日当りのよい草地に生える多年草。高さ約50cm。葉は直径約10cm,てのひら状に5
〜7裂し,裂片はさらに3つに裂けてまばらに毛がはえる。夏,淡紅色で濃いすじのある径3cm
ほどの花を茎の先に咲かせる。

フウロソウの仲間は霧ヶ峰高原の草原一帯に多く見られる。ハクサンフウロが目につくが,注意し
てみているとアサマフウロなどもちらほら。はじめはどれも同じに見えるけど。
 

ツリガネニンジン (吊鐘人参) Adenophora triphylla var. japonica
 キキョウ科ツリガネニンジン属

高原の草地などに生える多年草。茎は高さ30cm〜1m近くになり,夏から秋にかけて枝先に円
錐花序をつけ,茎を中心に環のように青紫色の花を下向きに咲かせる。花は長さ2cmほど,釣鐘
型で先は5裂して反り返る。
 

ワレモコウ (吾亦紅) Sanguisorba officinalis
  バラ科ワレモコウ属

日当りのよい山野に生える多年草。高さ70〜100cm程度。枝先に長さ1.5〜2cmほどの
暗紅紫色の花穂をつける。個々の花は小さく,花弁はない。上から下へ咲き進む。

地味だが高原の秋には欠かせない。細い枝先につくエンジ色の花穂が印象的だが,これがバラ科と
いわれるとちょっと意外な気もする。
 

イブキトラノオ (伊吹虎之尾) Polygonum bistorta
  タデ科タデ属

山地や高原の日当りのよい草地に生える多年草。高さは50cm〜1m以上になる。茎の先に長さ
3〜8cmくらいの細長い花穂をつける。花は萼が淡紅色か白色で3〜4mm,花弁はない。
和名は滋賀県の伊吹山に多いことに由来するが,北半球の高所・寒地にひろく分布し,ヨーロッパ
アルプスにも同じ種が生えている。
 

ヨツバヒヨドリ (四葉鵯) Eupatorium chinense var. sachalinense
 キク科フジバカマ属

やや高い山地の草原などに生える高さ1mほどの多年草。あまり枝分かれせず,数本が株立ちする。
葉は3〜5枚が輪生し長さ10cmほど,細長い楕円形で先がとがる。花は白から淡紅紫色。
ヒヨドリが鳴く頃花が咲き始めることから,ヒヨドリバナの名がついたといわれる。

八島ヶ池一帯の遊歩道沿いにも多く見られる。
 

ノリウツギ (糊空木) Hydrangea paniculata
   ユキノシタ科アジサイ属

山地や野原に生える落葉低木。しばしば群生し,高さ1.5〜3mでよく分枝して繁る。葉は対生
または3枚ずつ輪生し,長さ10〜20cm,先端が尖り縁にあらい鋸歯がある。枝の先に円錐状
の花序を出し,夏に白い花を咲かせる。花序の下部の外周には4つの萼片を持つ装飾花,中上部に
は小さな両性花が多数つく。樹皮の内側の粘液を製紙用の糊に用いた。

ビーナスライン沿いの駐車から八島ヶ池にかけての遊歩道の周りに多い。
 

ノアザミ (野薊) Cirsium japonicum
  キク科アザミ属

各地の山野に普通にみられる多年草。高さ50cm〜1m,上部で枝分かれして全体に白毛がある。
葉は互生して羽状に深く裂けて先端は刺となる。花は径4〜5cmで紅紫色,枝の先端に直立上向
きにつく。低地では春咲きのアザミであるが,この辺では夏に咲く。
 

コウゾリナ (髪剃菜) Picris hieracioides var. glabrescens
 キク科コウゾリナ属

山野の道端などに生える2年草。高さ30〜100cm。葉は長さ6〜10cm程度の倒披針形。
茎は上部で枝分かれして,径2〜2.5cmの黄色の舌状花からなる小花が多数集まった頭花をつ
ける。茎や葉に剛毛を持ち,さわると引っかかるところから剃刀にたとえたものが訛ってコウゾリ
ナとなったという。
 

シシウド (猪独活) Angelica pubescens
 セリ科シシウド属

山地の斜面ややや湿った日当りのよいところに生える多年草。高さ1〜1.5mほど。茎の先に,
花火のような大型の花序をつける。和名の猪独活は大型でイノシシが喰うウドの意だが,ウド(ウ
コギ科タラノキ属)と違って食用にはならない。

草原にポツリ,雄大な白い花序はよく目立つ。
 

アカバナシモツケ (赤花下野) Filipendula multijuga var.ciliata
   バラ科シモツケソウ属

山地の乾いた草原にはえる多年草。シモツケソウの変種である。
長野県の諏訪,小県,北佐久地方に分布。茎は高さ30〜80cmになり,先に径約5mmの小さ
な花を散房花序に密集して咲かせる。萼,花弁は4〜5個。
 

ノハナショウブ (野花菖蒲) Iris ensata var. spontanea
  アヤメ科アヤメ属

山野の草原や湿原に生える多年草。高さ60〜80cm。葉は剣状で長さ50cmほど,幅は5〜
12mmでアヤメよりも幅広い。初夏に葉中から花茎を出し,先に赤紫色で10〜15cmくらい
の花を開く。外花被片は大きく,垂れ下がって中央部の黄色が目立つ。園芸種ハナショウブの原種。
 

 八島ヶ池

大小の浮島が浮かぶ八島ヶ池。枯死した植物が積み重なって泥炭化した高層湿原である。泥炭層が
1mm堆積するのに1年かかるといわれており,厚さ10m近いこの八島ヶ原高層湿原の形成には
ざっと1万年はかかっている計算になる。
 

アサマフウロ (浅間風露) Geranium soboliferum
   フウロソウ科フウロソウ属

高原の湿り気のある草地に生える多年草。高さ40〜80cm。茎と葉柄に下向きの毛がある。葉
は直径5〜8cmで5つに深裂し,全面に毛が生える。花は径3〜4cmと大きく,濃紅紫色で濃
い色のすじがある。名前は浅間山にちなみ,北佐久,諏訪地方に分布する。
 

ハクサンフウロ (白山風露)  Geranium yesoense var. nipponicum
   フウロソウ科フウロソウ属

高原や高山の草地に生える多年草。高さは30〜80cm。葉は幅が5〜6cmで,てのひら状に
大きく5〜7裂,それぞれの裂片はさらに細かく分裂し,両面にあらい毛がある。紅紫色の花は径
2.5〜3cm。花弁の基部に白い軟毛がある。名前は石川県の白山にちなむが,信州各所で見る
ことができる。
 

ツリガネニンジン (吊鐘人参) Adenophora triphylla var. japonica
   キキョウ科ツリガネニンジン属

この株は倒れこんでいるが茎の高さは1m以上はあるようだ。葉は3〜5枚輪生し,細い長楕円形。
葉先は尖り,縁には鋸歯がある。名前は花が釣鐘に,根が朝鮮人参に似ていることに由来する。若
芽は食用に,根は薬用にされる。

八島ヶ池から時計回りに半周,奥霧ヶ峰キャンプ場の付近にて。このあと鎌ヶ池から物見岩へ。ゼ
ブラ山に向かうつもりが道を間違えた...まあ,いいか。

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