八島湿原 その2

長野県諏訪市,諏訪郡下諏訪町; 2002年7月25日撮影


ビーナスライン,八島ヶ原駐車場が八島湿原へのオモテの入り口。混雑激しく,歩道で立ち止まっ
てはかがんで花を撮る,というのはハッキリ言ってメイワクでした。ごめんなさい。なるべく邪魔
にならないように気は遣ったんですが。

でも,ぐるっと半周して奥まで来れば歩く人も(少しは)減って,ゆっくり狙えるというもの。あ
るいは周辺の山登りを楽しんでから午後から夕方にまわればよろし。多少遅くなってもこちらは自
転車,本気で走れば宿のある白樺湖までは1時間弱で帰りつけるし。(全行程歩きだと,こうはい
かない)
 

 八島ヶ原全景

八島湿原を右手に見ながら時計回りにおおよそ半周。奥霧ヶ峰鎌ヶ池キャンプ場付近から山に入る。
さすがにこのあたりまで来ると歩く人もまばら。植物も湿地を好むものから乾いた草原を好むもの
に入れ替わりつつある。
物見岩への登り道にて,振り返ると八島ヶ原一帯が見渡せる。湖を埋め立てたような広大な平原が
拡がる。奥の山は鷲ヶ峰1798m。
 

 蝶々深山と車山

蝶々深山1836m手前から右に折れて,御射山ヒュッテ方面へ下る。はるかに気象レーダーを山
頂にちょこんと載せた車山1925mが見えるが,あそこまで行ってしまうと帰るのがタイヘン。
あたりの山肌はニッコウキスゲの大群落で黄色く染まっている。
 

コバギボウシ (小葉擬宝珠) Hosta albo-marginata
  ユリ科ギボウシ属

日当りのよい湿地に生える多年草。葉は斜めに出て長さ10〜20cm,幅5〜10cmで楕円形
か卵形。高さ30〜40cmの花茎をだし,ラッパ形で長さ4〜5cm,紫の濃淡を持つ花を横向
きないしやや下向きに咲かせる。若芽や葉柄は山菜として珍重される。
 

コオニユリ (小鬼百合) Lilium leichtlinii var. tigrinum
 ユリ科ユリ属

日当りのよい山地の草原に生える多年草。高さ1〜2mになる。葉は線状披針形で長さ10〜15
cm,幅0.5〜1cm。ムカゴはつかない。茎の先端と上部の葉の脇から花柄を出して,橙色の
径7〜8cmの花を咲かせる。花被片は6個で黒紫色の斑点があり,くるりと反り返る。

クルマユリによく似るが,クルマユリは葉が茎の一箇所から放射状に輪のように生えるので区別で
きる。
 

コウリンカ (紅輪花) Senecio flammeus var. glabrifolius
  キク科キオン属

高原の草地などに生える多年草。茎は直立して高さ50cmほど,先端に散房状に数個の花をつけ
る。花は径3〜4cmほど。濃いオレンジ色の長い舌状花(花びらに見える部分)が輪になってつ
くところから,紅輪花。

御射山ヒュッテ付近にて。
 

カワラナデシコ (河原撫子) Dianthus superbus var. longicalycinus  別名 ナデシコ
  ナデシコ科ナデシコ属

山野の日当りのよい草原などに生える多年草。高さ30cm〜1m弱くらい。茎の上部が枝分かれ
して,淡紅紫色の花をひらく。萼は細長い円筒形で先端は5つに裂けている。花弁は5枚あり,先
が深く裂け,基部には毛がある。秋の七草。

霧ヶ峰の草原では,そこかしこで見られる。この花が咲いていると山歩きを楽しむ人たちの間から
歓声があがる。人気は上々。
 

ミツモトソウ (水源草) Potentilla cryptotaeniae  別名 ミナモトソウ
  バラ科キジムシロ属

山地の草原に生える多年草。高さ50〜70cm。茎には毛がある。葉は3出複葉で,各小葉は長
さ3〜6cm,縁に鋸歯がある卵形。花は茎の上部に多数つき,黄色で径約1cm。名前は谷沿い
などに多く見られることからか,みずもと(水源)に由来するという。
 

キンバイソウの仲間 Trollius sp.
 キンポウゲ科キンバイソウ属

草丈50cmほど,花は径4cmほど。黄橙色の花弁に見えるのは萼片で,花弁は雄しべや雌しべ
とともに中心部にあって線形で長さ約1cm。シナノキンバイの八重咲き品か?

御射山ヒュッテ前の沢にて。
 

オオバギボウシ (大葉擬宝珠) Hosta montana
 ユリ科ギボウシ属

山地の草原や丘陵地などに生える多年草。高さ1〜2m。葉は根元につき,卵円形ないし卵状楕円
形で基部は心形,長い柄を持つ。葉身は長さ10〜30cmほど,多数の葉脈が平行して走る。
夏,花茎の先に総状に淡紫色または白色の花を多数つける。花は6枚の花弁が合着した筒状鐘形で
先は6裂。ギボウシは橋の欄干にある擬宝珠につぼみの形が似ているから,という。

同じく,御射山ヒュッテ前の沢にて。
 

 旧御射山遺跡

土手に見える段々は人工的なもので,旧御射山一帯で行われた諏訪大社の祭事の際に豪族や武将た
ちが滞在して武芸を競ったスタジアムの跡ともキャンプ指定地ともいわれている。
 

シモツケソウ (下野草) Filipendula multijuga
 バラ科シモツケソウ属

山地の日当りのよい乾いた草地に生える多年草。高さ30cmから1m弱で群落を作ることが多い。
花は4〜5mmで散房状に多数つき,淡紅色。八島ヶ池の周りでは,花の赤味の強い変種アカバナ
シモツケが見られる。栃木県の県花。

御射山ヒュッテ前から八島ヶ原駐車場へ向かう遊歩道にて。
 

 湿原の向こうにゼブラ山 

 整備された木道 

御射山ヒュッテ前から八島ヶ原駐車場まではよく整備された遊歩道をゆく。道端には名板つきで山
野草の花各種。山は鷲ヶ峰。
 

ヤナギラン (柳蘭) Epilobium angustifolium
 アカバナ科アカバナ属

日当りのよい草地に生える多年草。茎は直立し1〜1.5m,葉は先の尖った長楕円形で多数互生
して長さは10〜15cm。茎の先端に長さ10〜50cmくらいの花序を総状につけ,紅紫色の
花が下から咲きあがる。花は4弁で径2〜3cm。和名は,葉の形が柳の葉に似ていてランのよう
な花を咲かせることによる。

御射山から八島ヶ原に向かう木道にて。数箇所に小規模な群落あり。
 

オカトラノオ (丘虎ノ尾) Lysimachia clethroides
  サクラソウ科オカトラノオ属

山地や丘陵の乾いた草原に生える多年草。高さ50cm〜1mになる。葉は狭卵形で,先端と基部
は尖る。花穂は長さ10〜20cmで一方向に傾き,白い花を総状に密に咲かせる。花は径6〜7
mmほど,花冠は5裂し,雄しべ5本。名前は花穂の様子,または葉が狭く細いところを虎の尾と
言うところから。
 

キンミズヒキ (金水引) Agrimonia pilosa
  バラ科キンミズヒキ属

山野に生える多年草。高さ30〜80cm。茎葉に毛が多く生える。葉は5〜7枚の小葉からなる
羽状複葉で各小葉は披針形,縁に鋸歯がある。夏,茎の先に穂状の花序を出し,径6〜10mmほ
どの黄色い5弁花を密に咲かせる。
 

カラマツソウ (唐松草) Thalictrum aquilegifolium
  キンポウゲ科カラマツソウ属

山地の林の縁や高原などに生える多年草。高さ50cm〜1mくらい。茎の上部に散房状の花序を
つけ,白色または淡紅色の花を多数つける。花弁はなく,雄しべが輪状に多数あつまり径約1cm。
花の様子がカラマツの葉を思わせることから,唐松草とよばれる。
 

チダケサシ (血茸刺) Astilbe microphylla
 ユキノシタ科チダケサシ属

やや湿った山野に生える多年草。高さ40〜80cm。花茎の先に淡紅色か白色の小さな花を多数
つける。信州方面で,チダケという食用のキノコをこの茎に刺して持ち帰ることから,チダケサシ。
 

バアソブ (婆ソブ) Codonopsis ussuriensis
   キキョウ科ツルニンジン属

山地の林内や林縁,草地にも生えるつる性の多年草。葉の裏には白い毛が多く生える。花冠は長さ
2〜2.5cmで内側奥のほうに濃い紫色の斑点がある。ソブは木曽地方の方言でそばかすのこと,
花冠の斑点を老婆のそばかすに例えたものという。これよりも大柄なジイソブ(ツルニンジン)と
いうのもある。
 

キンバイソウ (金梅草) Trollius hondoensis
  キンポウゲ科キンバイソウ属

深山の草地や林のふちなどに生える多年草。高さ40〜80cmになる。茎の上部で枝分かれして,
先端に径3〜4cmほどの黄色い花をつける。花弁に見えるのは萼片で長さ2〜2.5cmの卵形,
5〜7個が平開する。花弁は線形で長さ2cmほど。雄しべは多数あり,花弁よりも短い。
花の色が鮮やかな黄色で梅の花に似ているところから金梅草という。
 

  八島ヶ原一周ツアー,完結。

午後遅く,にわか雨パラパラ。観光客も足早に去って行った。さて,自転車引き出して帰るとする
か。車山肩に寄り道してニッコウキスゲ撮って。

→霧ヶ峰・夏,車山肩へ
 


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