乗鞍高原・初秋

長野県南安曇郡安曇村; 2002年8月26,29,30日撮影


年に一度のお祭り,全日本マウンテンサイクリングin乗鞍。乗鞍岳畳平標高2710mを目指して
ひたすら山道を駆け登るという,モノ好きな自転車レースです。夏を締めくくるこのイベントが終
わると,高原にはもう秋の気配。ススキの穂が伸び,蕎麦畑には満開のソバの花。レースの余韻を
味わいながら,初秋の高原を歩きます。
 

8月26日撮影

 秋の気配。

乗鞍高原鈴蘭地区でも一番奥まったエリアにある,乗鞍高原温泉ユースホステル。建物横の空き地
に繁る草むらには,もうススキの穂が。さすが,地元でも「乗鞍のチベット」と言われるだけあっ
て。
ここの若おかみは,乗鞍のツェルマットよお!と言い張っているが↑
 

ノコンギク (野紺菊) Aster ageratoides var. ovatus
  キク科シオン属

野山に普通に生える多年草で,高さ30〜50cm以上。葉は長楕円形で長さ5〜8cmほど,両
面に毛が生えていてざらつく。茎の先に径2.5cmほどの淡い青紫色の頭花を散房状につける。

初秋の高原を飾る花。道端あちこちで見られる。
 

オオハンゴンソウ (大反魂草) Rudbeckia laciniata
  キク科オオハンゴンソウ属

北米原産の多年草。中部以北のやや寒い地方に分布。明治の中ごろ,園芸植物として持ち込まれた
ものが野生化したという。ここでは高さ30〜50cmほど,径6〜7cmの黄色い大振りの花を
つけて群落になっている。

これも高原一帯,そこかしこ。帰化植物でもとはコスモスよろしく植えられたもののようだが,ス
キー場や荒地に進出してネイティブづらではびこっている。
 

   蕎麦畑

乗鞍高原のメインストリート(?)県道乗鞍岳線から一本山際にはいって平行する見晴らし通り,
通称ユース坂の蕎麦畑。7月下旬に蒔いた種が生長して花が咲いた。一ヶ月そこそこでここまで育
つソバは,暖候期の短い寒冷地に適した作物である。9月末頃には刈り入れが始まる。
 

コオニユリ (小鬼百合) Lilium leichtlinii var. tigrinum
  ユリ科ユリ属

日当りのよい山地の草原に生える多年草。高さ1〜2mになる。葉は線状披針形で長さ10〜15
cm,幅0.5〜1cm。ムカゴはつかない。茎の先端と上部の葉の脇から花柄を出して,橙色の
径7〜8cmの花を咲かせる。花被片は6個で黒紫色の斑点があり,くるりと反り返る。

クルマユリによく似るが,クルマユリは葉が茎の一箇所から放射状に輪のように生えるので区別で
きる。
 


おととい,昨日と乗鞍高原の小学校で折り紙教室。今日もよい天気なので,乗鞍の高山植物を狙い
に畳平へ一往復...山頂もさることながら,中腹の高原にも秋の花。
 

8月29日撮影

バライチゴ? (薔薇苺) Fragaria sp.
  バラ科オランダイチゴ属

山野に生える草状の小低木。茎には刺がまばらに生える。葉は羽状複葉で小葉は5〜7枚で長さ3
〜7cm,卵状長楕円形で先がとがる。花は白く,径約3cm。名は刺があることから。

先月,白い花を咲かせていた謎の苺。実が大きくなってきた。イチゴの仲間も,Fragaria 属はヘビ
イチゴやオランダイチゴ系,Rubus 属はキイチゴ系の実をつける。こいつはなんか,どっちつかず。
畳平ゆき,出発前に...
 

 蕎麦畑,朝。

今日はくっきりと晴れ渡った。期待できそう,山頂からの絶景。
 

ヤナギラン (柳蘭) Epilobium angustifolium
  

  アカバナ科アカバナ属

日当りのよい草地に生える多年草。茎は直立し,高さ1〜1.5m。葉は先の尖った長楕円形で多
数互生して長さは10〜15cm。茎の先端に長さ10〜50cmくらいの花序を総状につけ,紅
紫色の花が下から咲きあがる。花は4弁で径2〜3cm。和名は,葉の形が柳の葉に似ていてラン
のような花を咲かせることによる。

三本滝スキー場付近にて。スキー場や荒地,崩壊地などに真っ先に入り込んでくるパイオニア植物。
しかし,何年か経つと勢いが衰えてくるという。欧州,北米,ユーラシアなど北半球の周極地域に
広く分布する。
 

オオハンゴンソウ (大反魂草) Rudbeckia laciniata
   キク科オオハンゴンソウ属

キク科の帰化植物。ここ数年,やけに目立ってきた。やはりパイオニア植物で日当たりのよい荒地
や空き地などに繁茂する。根茎で増え,芋をつくる種類もある。三本滝スキー場にて。「反魂」と
は仏教用語で死者の魂を呼び戻すこと,だそうだ。
 

フジアザミ (富士薊) Cirsium purpuratum
  キク科アザミ属

山中の砂礫地などに生える多年草。高さは60cm〜1m。葉は大きく,根元に集まり長さ40〜
70cmであらく羽状に深裂し,鋭い刺がある。花は紅紫色で下向きに咲き,径6〜10cmと日
本産のアザミ類のなかではもっとも大きい。総苞片は紫色で縁にとげがあり,反り返っている。
富士山の周辺に多い。根は食用になる。

スキー場付近から位ヶ原山荘にかけての道端で見られる。
 

 三本滝の上,標高2000m付近

あたりは針葉樹林の黒い森。スキー場から上はもう亜高山帯。

この続きは,高山編 →乗鞍岳畳平・秋 その1その2
 


昨日帰るつもりがついつい山頂に長居して,下山したのは午後遅く。帰るのは結局今日になってし
まった。さて,もうひとめぐり撮影して帰りましょう。
 

8月30日撮影

 抜けるように青い空

夏がぶり返したかのような。しかし,あたりの木々にはそこはかとなく秋の色が。
 

ノコンギク (野紺菊) Aster ageratoides var. ovatus
  キク科シオン属

雑然と繁っているが,大写しにするとなかなか。乗鞍高原でも8月から10月アタマにかけて見る
ことができる。
 

クガイソウ (九蓋草) Veronicastrum sibiricum
  ゴマノハグサ科クガイソウ属

山地の開けた草原や斜面に生える多年草。高さ100〜120cmほど。長楕円状で両端が尖る披
針形の葉が4〜8枚輪生する。夏から秋,茎の先に長い穂のような総状花序を出して,淡紫〜青紫
色の小さな花を多数つける。これは花が終わって実をつけたところ。
 

ゲンノショウコ (現証拠) Geranium thunbergii  別名 ミコシグサ
  フウロソウ科フウロソウ属

山野の日当たりのよい場所に生える多年草。高さ30〜50cm。葉は3〜5つに裂けてミツバ状
あるいはてのひら状。径1.5〜2cmくらいの紅紫色から白色の花を上向きに咲かせる。関西で
は赤系,関東では白系が多いそうだ。薬草として下痢止めに使われる。
 

マルバハギ (円葉萩) Lespedeza cyrtobotrya
  マメ科ハギ属

山地の日当たりのよい場所に生える小低木。高さは1.5mになる。葉は3小葉を持ち,各小葉は
楕円形から倒卵形で長さ3cmほど,頂小葉は先端がへこむことがある。表面は滑らか。夏の終わ
り頃に長さ1cmほどの淡紫色の花を咲かせる。乗鞍ユースの玄関先にて。
 

   去り際に

雪が降ったような蕎麦畑。ソバの花も,寄って見るとなかなか美しい。タデ科である。
 


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