乗鞍高原・夏

長野県南安曇郡安曇村; 2002年7月20,21,23日撮影


梅雨が明けました。しかし天気はまだ不安定。
春の訪れの早かった今年ですが,梅雨時は気温の低い日もあって,季節の歩みは辻褄あわせ。さて
と。今年の夏の花,咲き具合はどうでしょうか。乗鞍高原を皮切りに,乗鞍岳畳平,霧ヶ峰,蓼科
・北八ヶ岳とめぐる夏の信州ツーリング,スタート。
 

7月20日撮影

  白樺峠と一ノ瀬園地

まずは,夜行列車で乗鞍高原入り。臨時便の電車で新島々,そこから自転車で白樺峠を越えて乗鞍
へ向かういつものコースを辿る。白樺峠では強い南風。山の稜線には雲の帯がかかっている。あれ
ってもしかして北上してゆく梅雨前線の南のへり?
 

オオウバユリ (大姥百合) Lilium cordatum var. glehnii
  

深山や山地の落葉樹林内に生える多年草。高さ1.5mくらいになる。冬には地上部は枯れてしま
う。葉は大きく,広卵形で基部は心形。茎の先に10〜20個の花が横向きに咲く。花は黄色みが
かった緑白色で長さ10〜15cm。花が咲く頃に根元の葉が枯れることから,成人した娘(花)
をもつ歯(葉)なしの姥にたとえた,という。なんだかなぁ。

鈴蘭地区の見晴らし通り(通称?ユース坂),蕎麦畑のそば。
 

ヤナギラン (柳蘭) Epilobium angustifolium
 アカバナ科アカバナ属

日当りのよい草地に生える多年草。茎は直立し1〜1.5m,葉は先の尖った長楕円形で多数互生
して長さは10〜15cm。茎の先端に長さ10〜50cmくらいの花序を総状につけ,紅紫色の
花が下から咲きあがる。花は4弁で径2〜3cm。和名は,葉の形が柳の葉に似ていてランのよう
な花を咲かせることによる。

乗鞍高原温泉ユースホステル,建物脇の草むら。
 


今日は天気もまずまずの畳平アタック日和。しかし,山頂ではたまにガスに覆われて...まだ,
夏はエンジン全開!とはいかないようです。今日のトコロは早めに下山し,乗鞍高原温泉ユースホ
ステルの建物の周りで山野草を。
 

7月21日撮影

 緑濃い夏の乗鞍

スキー場は緑の絨毯。しかし,それは遠目に見てのハナシで,近づけば茫々とした鬱陶しさ。立ち
入ることもはばかられる,暴力的な緑のはびこり。
 

クガイソウ (九蓋草) Veronicastrum sibiricum
 ゴマノハグサ科クガイソウ属

山地の開けた草原や斜面に生える多年草。高さ100〜120cmほど。長楕円状で両端が尖る披
針形の葉が4〜8枚輪生する。和名は九階草または九蓋草で,輪生した葉が何段にも重なる様子を
たとえたもの。

建物横の花壇,奥の方。
 

ウツボグサ (靫草) Prunella vulgaris var. lilacina
   シソ科ウツボグサ属

日当りのよい草地に生える多年草。高さ10〜30cm。葉は対生し,長卵形で長さ3〜5cm。
茎や葉にあらい毛がある。茎の先に長さ3〜8cmの花穂を出し,紫色の唇形の花を密集してつけ
る。和名のウツボグサは,海底に棲む魚のウツボ...ではなく,花穂の様子が弓矢を入れるうつ
ぼ(靫)に似ていることによる。

裏の川を渡って草の刈られたスキー場のコース付近。
 

オオバギボウシ (大葉擬宝珠) Hosta montana
   ユリ科ギボウシ属

山地の草原や丘陵地などに生える多年草。高さ1〜2m。葉は根元につき,卵円形ないし卵状楕円
形で基部は心形,長い柄を持つ。葉身は長さ10〜30cmほど,多数の葉脈が平行して走る。
夏,花茎の先に総状に淡紫色または白色の花を多数つける。花は6枚の花弁が合着した筒状鐘形で
先は6裂。ギボウシは橋の欄干にある擬宝珠につぼみの形が似ているから,という。

建物横の花壇,手前側。
 


昨日おとといと畳平へ。おなじみ畳平の高山植物,収穫もまずまず。今日も天気が良さそうなので,
一往復して撮りもらしたエコーライン沿道の植物を。その前に,あたりをもうひとまわり。
 

7月23日撮影

バライチゴ? (薔薇苺) Fragaria sp.
  

   バラ科オランダイチゴ属

山野に生える草状の小低木。茎には刺がまばらに生える。葉は羽状複葉で小葉は5〜7枚で長さ3
〜7cm,卵状長楕円形で先がとがる。花は白く,径約3cm。名は刺があることから。

建物脇,オオヤマザクラの木の下あたり。ユースの若旦那いわく,この株は珍しいものらしく研究
者が調べたいと持ち帰ったそうだ。ひょっとして,新種?
 

ヤナギラン (柳蘭) Epilobium angustifolium
 アカバナ科アカバナ属

山火事後やスキー場など,開けた場所に真っ先に入り込んでくるパイオニア植物。しかし,数年も
すると勢いが衰えてススキなどに負けてしまう。ユースの建物脇の空き地。ユースの若旦那が草刈
りして居場所を作ってやったそうだが,劣勢は否めない。
 

 鈴蘭のそば畑

しっかり耕されている。もう種まきは済んだのだろうか。
ソバは生長が早く,8月末には花を咲かせて9月末には収穫できる。耕作に適した暖候期が短い,
高地の高原に適した作物である。特に乗鞍高原で獲れるソバは,甘みと香り,粘りを持った最上品
とされている(らしい)。
 

ベニバナイチヤクソウ (紅花一薬草) Pyrola incarnata
   イチヤクソウ科イチヤクソウ属

深山のカラマツ林の中などに群生する多年草。葉は円形または円状楕円形で,根元に2〜5枚集ま
ってつく。花茎は高さ15〜20cmに立ち上がり,濃い桃色の径1cmくらいの花を多数つける。
薬草として用いられる同属の植物,イチヤクソウ(一薬草)の紅花種。

県道乗鞍岳線,東大ヒュッテ口バス停から三本滝にかけての道端にて。この付近には植林されたカ
ラマツ林のほかにシラビソやトウヒなどの原生林も広がる。

登って下って,温泉入ってひと休み。日暮れまでにまだ間があるので,あたりの散策。
 

オオバギボウシ (大葉擬宝珠) Hosta montana
  ユリ科ギボウシ属

一昨日よりも開き始めた花が増えて,ゴージャスになった。しかしギボウシは一日花。花の命はみ
じかい。
 

タマガワホトトギス (玉川杜鵑草) Tricyrtis latifolia
   ユリ科ホトトギス属

山地の木陰などに生える多年草。高さ30cm〜1m。葉は互生して広楕円形,長さ8〜12cm。
茎の先に散房花序を出し,数個の花を咲かせる。花は径2.5〜3cmほど,花被片は黄色で紫褐
色の斑点がある。外花被片は内花被片よりも幅が広く,基部にこぶ状のふくらみがある。
和名は花被片にある斑点をホトトギスの胸に散る斑点に,また京都府の玉川がこの花の名所である
から,ということらしい。
 

クガイソウ (九蓋草) Veronicastrum sibiricum
   ゴマノハグサ科クガイソウ属

夏から秋,茎の先に長い穂のような総状花序を出して,淡紫〜青紫色の小さな花を多数つける。花
冠は長さ約8mm,先は4裂し2本の雄しべと1本の雌しべが突き出す。動物の尻尾のようだが,
トラノオは別の植物。
 

 さあ,明日は移動だ。
 


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