野山北公園

東京都武蔵村山市; 2003年4月18日撮影


カタクリの群生で知られる,多摩湖の西にある野山北公園。某局6時のニュース番組「首都圏ネッ
トワーク」でも毎年取り上げられる場所です。丘陵地に広がる武蔵野の雑木林の一角を,そのまま
公園化して保護しているようです。今年はもうカタクリには遅いかもしれないけれど,ちょっと足
を伸ばして行ってみますか。
 

  かぶと橋

多摩湖の周囲をひとめぐりする外周道路。イチバン西のはずれに,巨大なカブトムシのモニュメン
トを載せた橋がある。ここから雑木林を下ってゆくと西武園から武蔵村山市へ通じる道路につきあ
たる。雑木林の中を行く小道,野の花がたくさん咲いている。
 

ミツバツチグリ (三ツ葉土栗) Potentilla freyniana
   バラ科キジムシロ属

山野に生える多年草。高さ10〜30cmほど。三小葉を出し,径1.5〜2cm程度の黄色い五
弁の花を咲かせる。ツチグリとは根茎が食用になることから由来するそうだが,このミツバツチグ
リは食用にはならないそうだ。(左,中はかぶと橋付近,右は野山北公園で撮影)
 

カキドオシ (垣通し) Glechoma hederacea var. grandis
   シソ科カキドオシ属

道端などの草地に生えるつる性の多年草。茎は直立ないし斜めに立ち上がって高さ5〜25cmほ
どになるが,花の後に倒れて地面を伸びてつる状になり,節から根を出す。葉は腎形で長さ1.5
〜2.5cm,幅2〜3cmで柄があり,縁には鈍い鋸歯がある。花は葉の脇に1〜3個つく。花
冠は長さ1.5〜2cmで淡紫色の唇形,下唇は上唇より長く内側に紫色の斑点がある。和名は垣
根を越してつるが伸びるところから。
 

ムラサキケマン (紫華鬘) Corydalis incisa
  ケシ科キケマン属

山地の林縁などに生える二年草。高さ20〜50cmに直立する。全体に柔らかな感じ。根生葉,
茎葉は柄を持ち,2〜3回羽状に細かく裂け,裂片にはさらに切れ込みが入る。茎の先に5〜10
cmほどの花序をつけ,総状に1.2〜2cmの紅紫色の花を多数つける。花冠は筒状で先は唇形
にひらく。
 

タチツボスミレ (立壷菫) Viola grypoceras
  スミレ科スミレ属

山野に普通に見られる多年草。高さ10cmほどだが,花の後にさらに伸びて30cmくらいにな
る。根生葉は柄を持ち,径1〜4cmほどの丸い心形。花は径1.5〜2.5cmで青紫〜淡い紫
が多いが,変化に富む。唇弁に紫色のすじがある。

山野に普通に見られる種類。武蔵野の道端でも,おなじみ。


車道へ出て多摩湖の方に戻るようにさかのぼると,左手に温泉施設カタクリの湯。その脇から細い
道を入ってゆくと,野山北公園の入り口へ。公園に入ると池があって,その奥に体験実習用?の田
んぼ。周りは雑木林におおわれた丘に囲まれている。で,その丘を歩いてみたら...
 

チゴユリ (稚児百合) Disporum smilacinum
  

  

  ユリ科チゴユリ属

山地や丘陵地のやや明るい林内に生える多年草。茎は高さ15〜40cmほどでまれに分枝する。
葉は長楕円形で長さ5cm前後,幅3cm程度。無毛で質は薄い。茎の先に1個ないし2個の1〜
1.5cmくらいの小さな花を垂れてつける。かれんで小形の花をつけるところから,稚児百合。

しかし。信州まで行かなくても,こんな近くに群生地があったとは。
 

 雑木林の小道

クヌギやコナラなどの落葉樹の林である。冬は葉が落ちて明るいが,夏は鬱蒼としたもの。カタク
リやチゴユリなどの林下に生える植物は,木々が葉を繁らすまでのわずかなタイミングを突いて生
長し花を咲かせる。
 

 あちこち,タチツボスミレ

踏み固められた道の脇にはスミレが咲く。
 

 魚釣り池

コイや鮒がいるようだ。子供の遊び場かと思いきや,釣り糸を垂れるのはもっぱらオジサンたち。
 

モミジイチゴ (椛苺) Rubus palmatus var. coptophyllus
  バラ科キイチゴ属

山地の崖や河原,道端などの荒地に生える落葉低木。高さ1〜2mになる。葉は三角状卵形で,モ
ミジのように掌状に3〜5裂する。幹は斜めに伸び,鋭い刺をもつ。葉のつく短い枝に1つずつ,
5弁の白い花を下向きに咲かせる。花は径2.5〜3cmほどで平開し,雄しべ多数。実は黄橙色
の「木イチゴ」で甘酸っぱい。梅雨時に熟す。
 

カタクリ (片栗) Erythronium japonicum
  ユリ科カタクリ属

山野の林下に生える多年草。しばしば群生する。葉は普通2枚出て,卵形ないし長楕円形。質は厚
くて軟らかく淡緑色,紫色の斑紋があるが生育地によっては斑紋のないものもある。春先に,高さ
10〜20cmの花茎の先に紅紫色の花を下向きに咲かせる。

案の定,すっかり終わっていたカタクリ。ここの群生地は自生ではなく,植えて増やしたものだそ
うだ。
 

 新緑の雑木林

緑という色にはこんな多様な色調があるのか,と感じる季節。木々が個性を主張する。これがもう
少し経つと,茫々然とした緑の洪水と化す。
 

  林下には...

チゴユリの群生。足の踏み場もないほど。
 

ヤマツツジ (山躑躅) Rhododendron kaempferi
  ツツジ科ツツジ属

山地や丘陵地に普通に見られる落葉低木。一部の葉は越年する。高さ2〜3mになり,よく分枝す
る。葉は長さ2〜4cmの長楕円形で,柄は短い。花は枝先に2〜3個つき,径3〜4cmほど。
色は橙赤色から紅紫色まで変異が多い。
 


おまけ

今年も庭に咲いたスミレ。何年か前に,奥多摩の土産物屋さんで分けてもらってきたものが,すっ
かり根付いた。まあ,もともと武蔵野の土地に生えていたものだから...

ニオイタチツボスミレ? (匂立壷菫) Viola obtusa
   スミレ科スミレ属

タチツボスミレに似ているが,葉がよりまるい。花の色も濃く中央が白く抜ける。側弁の内側に白
い微毛が生える。(タチツボスミレは無毛)

左,中 4月12日撮影
右   4月13日撮影
 


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