奥多摩・五日市 2002 part 2

東京都西多摩郡檜原村,奥多摩町; 2002年4月6日,13日撮影


4月に入っても季節の歩みはペースを落とさず,近所のソメイヨシノもざっと2週間早く咲き,そ
して散りました。こうしちゃいられない。五日市の奥にある見事なシダレザクラ,もう見頃を過ぎ
てたりして。週末は快速おくたま3号,臨時便。
 

4月6日撮影

シダレザクラ? (枝垂桜) Prunus pendula form. pendula?
  バラ科サクラ属

シダレザクラはエドヒガンザクラを母種とする園芸品種で,イトザクラとも呼ばれる。五日市の奥,
桧原街道沿いにはこの枝垂桜を植えた家が多い。山肌には新緑に混じって,霞みがかかったような
ヤマザクラも,満開。

花見をしながら走るには,自転車のスピードはちょうど良い。なにか見つけたら,すぐに停まって
心ゆくまで眺めるもよし。ただし,急ブレーキは後続車にメイワクなので十分注意のこと。
 

ニリンソウ (二輪草) Anemone flaccida
   

 キンポウゲ科イチリンソウ属

山野の草地や林内にはえる多年草。高さ15〜30cmくらい。茎葉は柄がなく3枚輪生し,間か
ら普通2本の柄を出して先端に径1.5〜2.5cmの白い花をつける。白い花びらに見えるのは
萼片で,5個から6〜7個ある。和名のニリンソウは一株が2個の花をつけることによるが,1個
ないし3個のこともある。

桧原街道沿い,枝垂桜の咲く道端の畑の法面に。
 

エイザンスミレ (叡山菫) Viola eizanensis
  

 スミレ科スミレ属

山地の落葉樹林下に生える多年草。花期に出る葉は長さ3〜5cm以上で大きく3つに裂ける。各
裂片はさらに裂けて鳥の足状になる。このあたりのスミレの葉には,まるい心形(ハート型)や楕
円形が多いのでちょっと変わっている。花は大きく径2.5〜3cm弱で淡い紅紫色,花弁の縁が
やや波打っている。日本の特産種で,名は比叡山にちなむ。

街道沿い,上川乗集落手前の沢スジにて。
 

タチツボスミレ (立壷菫) Viola grypoceras
  スミレ科スミレ属

山野に普通に見られる多年草。高さ10cmほどだが,花の後にさらに伸びて30cmくらいにな
る。根生葉は柄を持ち,径1〜4cmほどの丸い心形。花は径1.5〜2.5cmで青紫〜淡い紫
が多いが,変化に富む。唇弁に紫色のすじがある。道路際で。
 

渓流にひっそりと咲くニリンソウ。街道沿い,上川乗集落手前の沢スジにて。
 

コチャルメルソウ Mitella pauciflora
  ユキノシタ科チャルメルソウ属

渓流沿いなど,湿った林内に生える常緑の多年草。根生葉はさしわたし5〜10cmほど,柄があ
り卵円形で基部は丸く先は尖り,葉脈の部分がへこんで光沢がある。高さ20〜30cmの花茎を
出し,2個から10個程度の花をまばらに咲かせる。花弁は紅紫色または淡黄緑色で魚の骨のよう
に7〜9裂する。花弁の背後の丸い萼底のまん中に白いおしべが5つある。名前は,果実が楽器の
チャルメラの形に似ていることによる。

街道沿い,上川乗集落手前の沢スジにて。
 

モミジイチゴ (椛苺) Rubus palmatus var. coptophyllus
  バラ科キイチゴ属

山地の崖や河原,道端などの荒地に生える落葉低木。高さ1〜2mになる。葉は三角状卵形で,モ
ミジのように掌状に3〜5裂する。幹は斜めに伸び,鋭い刺をもつ。葉のつく短い枝に1つずつ,
5弁の白い花を下向きに咲かせる。花は径2.5〜3cmほどで平開し,雄しべ多数。実は黄橙色
の「木イチゴ」で甘酸っぱい。梅雨時に熟す。

上川乗集落手前の沢スジ,道路際にて。
 

ミツバツツジ (三葉躑躅) Rhododendron dilatatum  別名 イワツツジ
   ツツジ科ツツジ属

暖地に生える落葉低木。関東以西の太平洋側山地に分布する。近縁種が多いが,ここではまとめて
ミツバツツジとしておく。高さ1.5〜2m。春先に,葉よりも先に紅紫色の花を咲かせる。花は
枝先に2〜3個付き,花冠は径3〜4cmで深く5裂する。おしべ5本。花の時期の葉芽が3本立
ち上がって見えるところからミツバツツジ,また,険しい岩場にも生えるところからイワツツジと
も呼ばれる。

上川乗の土産物兼喫茶店,山小屋さんの駐車場にて。奥多摩周遊道路沿いにも多く自生する。
 

ヤエベニシダレ (八重紅枝垂) Prunus pendula form. pendula-rosea
  バラ科サクラ属

人里(へんぼり)バス停の見事な枝垂れ桜,満開。すばらしい。まるで花火がはじけた瞬間のよう。
この枝垂桜を1本100万エンで譲ってくれ,と言った人が居たそうだが...
 

キクザキイチリンソウ (菊咲一輪草) Anemone pseudo-altaica  別名 キクザキイチゲ
   キンポウゲ科イチリンソウ属

山地の林の中などに生える多年草。高さ10〜20cmほど。茎葉は3枚が輪生し,各々は3枚の
小葉を持つ3出複葉で小葉は細裂する。早春,茎の先に径2.5〜3cmほどの淡紫色または白い
花を1つ開く。花弁はなく,花びら状の萼片を10〜13個持つ。萼片は狭長楕円形で長さ1〜2
cm。

都民の森,朴や楠の大木が繁る林の下生えに。この時期,巨木は芽吹いておらず,日光は地面まで
届く。早春の山野草の多くはこの機会を逃さずに葉を広げ花を咲かせて実を結ぶ。そして大木が枝
を広げて森がうっそうと暗くなる頃には,枯れてしまうものも多い。以下,都民の森にて撮影。
 

オオミスミソウ (大三角草) Hepatica nobilis var. japonica form. magna  別名 ユキワリソウ
  キンポウゲ科ミスミソウ属

ミスミソウの1品種。山地の木陰に生える多年草。葉は根生して柄を持ち,幅5〜10cm,基部
は心形で大きく3裂する。列片は幅広の三角状卵形,全縁でやや革質。春,高さ5〜10cmほど
の花柄をだし,先端に径3cmほどの花を咲かせる。花の下に3個の総苞があり,花弁状の萼片が
6〜9個で花弁はない。

別名の雪割草は,まだ雪の残るころに開花することに由来する。同じような理由で,ヨーロッパに
生える桜草の一種にユキワリソウの名を持つものがある。
 

カタクリ (片栗) Erythronium japonicum
   ユリ科カタクリ属

山野の林下に生える多年草。しばしば群生する。葉は普通2枚出て,卵形ないし長楕円形。質は厚
くて軟らかく淡緑色,紫色の斑紋があるが生育地によっては斑紋のないものもある。春先に,高さ
10〜20cmの花茎の先に紅紫色の花を下向きに咲かせる。花被片は長さ5〜6cm,先は尖っ
て基部にはW字型で濃い紫色の紋がある。花被片は日中,陽が差すと開いて強く反り返る。

鱗茎は地中深くに入り,筒状長楕円形で長さ4〜6cm。良質のでん粉が採れる。いわゆる片栗粉
である。(←現在市販されている片栗粉の原料はこれではなく,馬鈴薯である。)
 

ハシリドコロ (走り所?) Scopolia japonica
  ナス科ハシリドコロ属

暗い谷間などの林下に生える多年草。高さ30〜60cm。茎および葉は無毛で軟らかい。葉は長
さ10〜20cm,幅3〜7cmの楕円形で,葉の脇から花柄を出して花を1つずつ咲かせる。花
冠は鐘形で5浅裂して垂れて咲き,長さは2cmほど,外側は暗紅紫色で内側は黄緑色。全体に有
毒成分を持ち,これを誤って食べると幻覚症状を起して「ところかまわず走り回る」のだそう。地
下茎は薬用にされる。
 

イカリソウ (錨草) Epimedium grandiflorum var. thunbergianum
  メギ科イカリソウ属

丘陵地などに生える多年草。高さ20〜40cm,葉は卵形で縁に刺状の鋸歯があり,長さ5cm
程度。茎の先に花序を出し,紫〜淡紫色の花を数個下向きにつける。花には4枚の花弁に長さ約2
cmの長い距があり,四方に広がり弓形に曲がる。その様子が船のイカリに似ているところから,
イカリソウの名がついた。白花のものは,シロバナイカリソウ。
 


あれから一週間。人里のシダレザクラ,都民の森のカタクリ,どうなっただろうか。急ぎ足で過ぎ
て行く春を捕まえるべく,先週に引き続き快速おくたま4号,発進。
 

4月13日撮影

ヤエベニシダレ (八重紅枝垂) Prunus pendula form. pendula-rosea
  

 バラ科サクラ属

シダレザクラにもいくつかの品種があり,これは紅色の八重咲きのもの。遠目には判らないが...
花が散りきる前に葉が出てくるが,淡いピンク色に新緑が混じった姿も趣がある。山里にはシダレ
ザクラだけでなくツツジの類も多く植えられていて,色とりどり楽しませてくれる。
 

以下,都民の森の森林館へ向かって登ってゆく遊歩道にて撮影。ここには自生していたり,付近の
山に生えているものを移植したりしたと思しき山野草の花が種類豊富に咲き競う。山野草は花期が
微妙にずれているので,毎週のように通っているとそれぞれに発見がある。
 

ケマルバスミレ (毛丸葉菫) Viola keiskei form. okuboi
  スミレ科スミレ属

山野のやや乾いた林下に生える多年草。葉は丸く径2〜3cmで基部は心形,縁にあらい鋸歯があ
り,葉面や葉柄に毛が多く生える。高さ5cmほどの花茎の先に径2〜2.5cmほどの花を咲か
せる。花弁は白くてまるく,唇弁には紫色のスジがある。無毛のものをマルバスミレという。
 

ナガバノスミレサイシン (長葉ノ菫細辛) Viola bissetii
  スミレ科スミレ属

山地の林下に生える多年草。葉ははじめ細く巻き込んでいる場合が多いが,花に遅れて開いて,長
さ5〜10cm,幅3〜5cmの長い三角状披針形になる。基部は深い心形,表面には光沢がある。
高さ10〜15cmほどの花茎の先に,径2〜2.5cmほどの淡紫色の大ぶりの花を1個咲かせ
る。唇弁には濃紫色のスジがある。関東以西の太平洋側に分布する。和名は,根を鎮痛・咳止めの
漢方薬として用いる細辛(ウスバサイシン)に葉が似ていることに由来する。
 

カタクリ (片栗) Erythronium japonicum
   

  ユリ科カタクリ属

先週に比べて,咲き始めた株が多くなった。
 

コガネネコノメソウ (黄金猫ノ目草) Chrysosplenium pilosum var. sphaerospermum
  ユキノシタ科ネコノメソウ属

山地の谷川べりなどの湿地に生える多年草。葉は対生して円状扇形,さしわたし1cm程度で表面
に粗い毛が生え,縁に鈍い歯牙がある。茎の先から花柄を出し,先端に数個の黄色い花を咲かせる。
花は径5ミリほどで花弁はなく,鮮やかな黄色の花弁状の萼片が4個。花が終わると緑色になる。
 

オオミスミソウ (大三角草) Hepatica nobilis var. japonica form. magna  別名 ユキワリソウ
 キンポウゲ科ミスミソウ属

オオミスミソウの花が開いた。花色は白,紫,紅色など,変化に富む。
 

アズマイチゲ (東一花) Anemone Raddeana
 キンポウゲ科イチリンソウ属

山地の林下に生える多年草。高さ10〜15cm。茎葉は3枚が輪生し,おのおのは3出複葉,各
小葉は縁が裂ける。春先に葉よりも高く茎を出し,先に花が1個咲く。花は径2〜4cm,花弁は
なく白い萼片を8〜13個持つ。萼片は狭長楕円形で白色,外側はかすかに紫色。関東地方に多く
見られるところから,東一花。

この株は残念ながら花を閉じてしまっているが,咲いた状態はキクザキイチリンソウに似ている。
ここ都民の森ではキクザキイチリンソウと混生しているが,葉を見ると区別できる。
 

  奥多摩湖(小河内ダム)

小雨がぱらつきだし,植物の撮影をそこそこに切り上げて都民の森を出発する。最高地点の風張峠
までしっとりと濡らされてしまったが,峠を越えた途端天気回復。薄日も差してきた。ちっ。もっ
と撮りたいものがあったのに。
 


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